「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」9話レビュー〜刑事とヒーロー〜

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©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

富豪刑事 Balance:UNLIMITED」9話冒頭、長介と武井を殺された春は現対本部へ戻ろうとするが、大助は拒絶しこの件に警察ではなく私人としてのみ関わると言う。違わず正義を執行できる私人とは、すなわちヒーローである。春は4話で刑事(公務員)とヒーローの両立への悩みを吐露していたが、つまりここでの2人の別れはその両立の――"交わり"の別れを意味する。しかしこれまでも描かれてきたように、本作において交わりはむしろ逆方向へ進むものだ。

 

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「デカダンス」10話レビュー〜虚実より真実〜

デカダンス #10「brake system」

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©DECA-DENCE PROJECT

ガドル工場の破壊とナツメが世界の実相を知ることで虚構と現実の境が破壊された「デカダンス」。結果として10話冒頭、ナツメはショックのあまり気を失う。それは虚構と現実の区別をつけられなくなった彼女の「ログアウト」だ。リセットボタンを押すように意識を消せば全ては夢――虚構になってくれると願う、そういう行動だ。

 

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「ゴッド・オブ・ハイスクール」10話レビュー~見えない借力~

ゴッド・オブ・ハイスクール #10「oath/meaning」

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©2020 Crunchy Onigiri, LLC
「ゴッド・オブ・ハイスクール」10話アバンでは、パク・イルピョの従姉妹のスンヨンが4年前戦えなくなった経緯と、それに怒りまた彼女の治療のために個人的感情を置き去りにしようとするイルピョが描かれる。アバンからラストに至るまで、この10話は彼がともすると置き去りにしがちな「自分」を取り戻させる話だ。
 

「ラブライブ!サンシャイン!!」13話レビュー〜小数点を動かせ〜

ラブライブ!サンシャイン!! 13話「サンシャイン!!」

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©プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

地区予選のステージが描かれる「ラブライブ!サンシャイン!!」13話冒頭、千歌は皆に伝えたいことがあると告げる。「伝える」とはそもそも、どういうことだろうか。

 

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2020秋アニメ レビュー予定作品

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© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会

10月からまた新作アニメが始まりますね。秋は以下の作品についてレビューを書いていく予定です。

 

<9/16追記>

 もう放送予定の追加は無いだろうと思っていたら、虹ヶ咲が10月から放送開始だそうで。聞いてみれば自然な流れですがうかつでした。
レビュー予定を下記のように変更します。

 

ラブライブ!サンシャイン!! 月曜→金曜
ご注文はうさぎですか? BLOOM 日曜→月曜
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 (追加)日曜

  

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「天晴爛漫!」10話レビュー~技術の新旧から理念の新旧へ~

天晴爛漫! 10話「The Bridge to Hell」

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

再開したレースでのギルの大暴れが描かれる「天晴爛漫!」10話は、列車とレースの自動車が同時出発する新旧対決の様相を呈して始まる。しかし本当に競っているのは――いや、対立しているのは、技術の新旧ではなく理念の新旧だ。

 

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「デカダンス」9話レビュー~変わらぬ内外~

デカダンス 9話「turbocharger」

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©DECA-DENCE PROJECT

デカダンス」9話で破壊作戦の決行されるガドル工場周辺にはチップに反応する不可視のシールドが張られている。内外を分けるその境界線にナツメは気付かず、カブラギはおっかなびっくり越えるが、チップの無い彼らの体には内外の違いは意味がない。内と外は別のようだけれど変わらない、それがこの9話のルールだ。

 

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