「刀使ノ巫女」1巻レビュー~少女は無垢に強さを追う~

刀使ノ巫女(1) (角川コミックス・エース)

 

 原作・五箇伝計画、漫画・さいとー栄の「刀使ノ巫女」1巻を読了。2018年1月に放送開始したアニメのコミカライズとなります。内容はアニメ1話の終わりまでですが、本編開始前の可奈美と舞衣が描かれていることで重心が少し変わっているのが見どころでしょうか。美濃関学院の代表が決まるまでを2話使っていることで、可奈美の剣術バカぶりや天真爛漫さ、舞衣との友情がよりはっきり感じられます。逆に言うと可奈美が姫和に惹かれる部分が相対的に弱くなっており、姫和の存在感はアニメ1話ほどではありません。
 「切っ先の向く先」の副題の通り、30分で舞衣→可奈美→姫和のラインをはっきりさせていた1話は3人に3人なりの危うさが見えて面白かったのですが、漫画では時間をかけた分だけ爽やかさが強く、親しみやすさ口触りの良さが増しているように感じられました。もちろん、舞衣の可奈美への追いつけないという気持ちや姫和に可奈美を取られるのじゃないかという焦りの萌芽はこの漫画でも折々挿し込まれているのですが。

 アニメ本編も2話でまた印象の変わるものでしたし、このあたりのテイストの違いが印象にどう差を与えてくるかはなかなか興味深いものがあります。アニメを見た人にもぜひおすすめしたい1冊。