「ゲゲゲの鬼太郎」6期96話レビュー~理の外は見えない世界~

 


ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第96話「第二次妖怪大戦争」

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©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション

 

 

 「ゲゲゲの鬼太郎」6期96話「第二次妖怪大戦争」を視聴。暗躍を続けてきたぬらりひょんの策謀は今回最高潮に達します。妖怪大同盟への加入を叫んでいた邪魅は彼の仕込みであったし、鬼太郎をも追い詰めたバックベアードに対しても「自分には無毒、相手には有毒」の理を使って排除してのける。ねずみ男も言葉巧みに操って、その手にまなを殺すための拳銃を握らせることに成功しました。
 しかし最高潮とは同時に限界でもあって、彼の目論見は狂い始めてもいます。理屈で納得していてもねずみ男はまなを殺せず、バックベアードは予想を越えて粘った結果地球そのものを滅ぼしかねない爆弾と化す。こうした理の外の事態はぬらりひょんにも予想できていませんでした。「見えて」いませんでした。
 
 理とは畢竟「見えて」いるもの。そして本作のキャッチフレーズは「見えてる世界が全てじゃない」……理の外にあるものとはすなわち、見えていない世界のことです。鬼太郎がいる「あらざるの地」とはこの世とあの世の理の外世界であり、敵味方の理の外にいる石動零には協力の余地があり、「あらざるの地」に向かうまなにどんな代償が待っているかは分からず、しかしそこにはこの状況をひっくり返す可能性が残されている。全ては、見えてる世界が全てと思っていてはたどり着けないものです。それは妖怪のように得体が知れず、恐ろしく、しかし希望もまた隠されている。
 この絶望的な状況下をいかにしてひっくり返すのか、そしてその代償が何を見せてくれるのか。初志貫徹を高らかに宣言する最終回の副題は、今は見えない望みが確かにあることを感じさせてくれます。
 
*94話までの感想は旧ブログを御覧ください。

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