「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」2話レビュー～箱の内外～

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」2話。まほろが勧めるはおさかなグミには様々な魚の形のグミが入っている。入れ物……「箱」とは、本来は別のものをひとまとめに（同じに）する力を持っている。
©筒井康隆・新潮社／伊藤智彦・神戸財閥#富豪刑事BUL pic.twitter.com/EswoybtOsr
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

取調室もまた、警察の持つ「箱」だ。容疑者と刑事という別のものを入れて自白という結果を取り出すための箱。中で起きる出来事が異なっても、箱が機能すれば同じ結果が出力される。
©筒井康隆・新潮社／伊藤智彦・神戸財閥#富豪刑事BUL pic.twitter.com/5CDQIQ7ha1
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

麻薬取引を追跡するための覆面パトカーもまた「箱」である。神戸と加藤、記者の三田というまるで違う3人はしかし、同じ箱の中にいて追跡という目的を共にしている。双眼鏡も特殊グラスもカメラも、真実を追わんとする道具に変わりはない。
©筒井康隆・新潮社／伊藤智彦・神戸財閥#富豪刑事BUL pic.twitter.com/CieN0QuXIB
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

更に言うなら、家も食事や入浴といった異なる機能をひとまとめにした「箱」だ。単機能に注目すれば、加藤のように神戸の家をレストランかホテルかと勘違いすることになる。#富豪刑事BUL
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

加藤は「箱」を必ずしも使いこなせているとは言い難い。覆面パトカーを家代わりに捜査して体臭を悪化させるし、伊勢崎の現行犯逮捕やドラッグパーティへの無謀な乗り込みは事件の全貌という箱を上手く活かせていない。#富豪刑事BUL
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

この点に関して、神戸は今回完全に一枚上を行く。着ぐるみに自分ではなく三田を入れ、ビルに事件関係者をひとまとめにし、買収したそこに催眠ガスを撃ち込んで一網打尽にする。どれも「箱」を認識すればこそできること。#富豪刑事BUL
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

誤って発砲してトラウマを負った過去からも言えるように、加藤は人情故に箱の中ばかり見ている。一方で神戸は箱を上手に扱える一方、その中にあるものを上手く出力できているとは言い難い。路上漫才に1万円入れる感覚も、真意を見せないやり方も加藤の反感を買っている。#富豪刑事BUL
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

階段と階下のように、2人の高さは交わらないのだ。しかしトラウマを指摘されて神戸に掴みかかる加藤は階段を1つ昇っている。そこには方法論だけの対立を一歩踏み越えた、交わらない2人の交わりの兆しが覗いている。
©筒井康隆・新潮社／伊藤智彦・神戸財閥#富豪刑事BUL pic.twitter.com/DjW1idLDPb
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

飛行機という「箱」に2人は共に乗る。現対本部という「箱」は、このバディを事件の更なる破天荒な解決の高みへと導いていくだろう。
©筒井康隆・新潮社／伊藤智彦・神戸財閥#富豪刑事BUL pic.twitter.com/vtgeCdOUmq
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

というわけで富豪刑事の2話レビューでした。前回もそうですが、演出が僕のアンテナに合うのか見ていてとても楽しいです。アクションものとも少し違う、金が作り出す空間のダイナミックな躍動感とでも言うのか。#富豪刑事BUL
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

レビュー中では触れる余地が無かったけど、新登場の鈴江のしていた内偵も敵の懐を「箱」に見立てて紛れ込む行動の一種。邸宅が秘密基地の機能まで兼ねた「箱」なのは良い意味で二昔前の感があって楽しい。#富豪刑事BUL
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日

あとカップラーメンが美味しくて特注カップラーメンを作ってしまう神戸の子供っぽさも微笑ましい。中身は全然違うけど、この場合カップラーメンという「箱」が彼にとっては重要なのでしょう。
©筒井康隆・新潮社／伊藤智彦・神戸財閥#富豪刑事BUL pic.twitter.com/1f6zkMCxPG
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年4月17日