「ラブライブ!」13話。平手打ちの感触は穂乃果からも海未からも消えていない。終わり時を失ったゆえの衝突は終わっていないわけだが、「終わらない」ことは全て悲しみ苦しみを生むわけではない。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年5月5日
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活動休止したμ’sは、自ら「終わり」を決めたに等しい。9人ではないこと、穂乃果がいないこと、廃校が阻止されたこと。終わりの理由はいくらでも挙げられる。#lovelive
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しかしそこで描かれるのはむしろ「終わらない」こと「終わっていない」ことだ。にこは活動を続けようと花陽と凛を誘い、真姫は穂乃果の覗いた扉を見る。海未とことりは留学の決定をもう変えられないと言いつつ、未練を捨て切れてはいない。#lovelive
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穂乃果自身も、海未やことりとではなく級友と遊んでそれはそれで楽しく過ごしながらも、自分の中でアイドルとして過ごした時間が消えていないことを体感する。終わっていないことを知る。#lovelive
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穂乃果の家を訪れた絵里は言う。変わることを恐れず突き進む勇気を穂乃果からもらったと。変化に感謝するこの言葉は、同時に穂乃果に対する願いでもある。「自分を変えてくれたあなたの素晴らしさは変わらないでほしい」という、矛盾にすら思える願い。
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前回書いたように、変わることは何かが終わることだ。人は生きている限り変化を避けられないし変化していくべきでもある。けれど逆に、生きている限り変化しようがなくまた変化すべきでないものもあるのではないか。#lovelive
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再び立ち上がった穂乃果は海未に言う。ファーストライブでアイドルは手段でなく目的へ「変わった」のだと。その思いはもう自分の中で「変わらない」のだと。だからスクールアイドルを続けたい、海未と友達でい続けたい。#lovelive
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それは穂乃果にとってラブライブ出場辞退やことりを追い詰めてしまった自分を「終わらせる」(決着を付ける)ことであり、同時にそれでも自分の中にあるものを「終わらせない」宣言だ。矛盾しかねない難しいことを、穂乃果はそれでも口にした。#lovelive
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そういう穂乃果をこそ、海未は肯定する。人の気も知らないで迷惑をかけるけど、人には勇気がなくて踏み出せないところまで連れて行ってくれるのが穂乃果だと。迷惑を恐れて踏み出せない(自分の気持ちに嘘を付く)ようには変わってほしくないと。#lovelive
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だから穂乃果は、良いところだけではなく悪しきところまで含めた自分という個性を、差異を存分に発揮する。有名なデザイナーに見込まれ、もう空港まで来ているのに引き留める擁護のしようのない「ワガママ」――でも、ワガママだから登れるステージへ赴く。#lovelive
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皆がもう手遅れだと思っていた、「終わっている」と思っていたことりの留学決定。けれどことりはそれ故に苦しみが「終わらない」のを感じていた。だったら穂乃果は留学決定を「終わらせない」。そしてことりの苦しみを「終わらせる」。
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にこは言った。「皆の前で歌って、ダンスして、皆と一緒に盛り上がって、また明日から頑張ろうって、そういう気持ちにさせることができるアイドルが私は大好きなの」。その人の苦しい気持ちを「終わらせて」、その人の喜びを「終わらせない」のがアイドル。#lovelive
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終わることは変わることで、変わるものは違うものになること。なら終わらせないことは変わらないことで、変わらないことは違うものにならないこと。なら「違い(差異と共通性)を統べる」力を持つ穂乃果こそはμ’sの中のアイドルなのだろう。https://t.co/vr8yFpvJ45#lovelive
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だから穂乃果を先頭に、μ’sはまた進む。講堂をいっぱいにするという夢を叶えて(終わらせて)、ラブライブ出場や廃校阻止の題目がなくなっても再び活動する(終わらせない)。最終回の先にも、世界は続いていくのだ。
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というわけでラブライブの12話レビューでした。これはまたきれいな最終回だ。正直、2期があるのを知った状態で視聴したのがもったいないくらい。#lovelive
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1話で感じた「差異と共通性」というのは王道の――悪く言えば陳腐になりがちなテーマですが、終盤の「変化する/しない」や「終わる/終わらない」もここに収斂していくのにはほとんど圧倒されてしまいました。#lovelive
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年5月5日
虚構推理の時にも書きましたが、こういう終わりで全体が見える構造に弱いんですよ。中盤まで物足りなさを感じいたと11話で書きましたが、スマンありゃ死亡フラグだった。#lovelive
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年5月5日
本作で描かれるのはスクールアイドル、プロのアイドルではない。けれど高坂穂乃果という少女の輝きは確かにアイドルのそれで、彼女が彼女であるまま磨かれていくのがこの全13話だったのだと思います。#lovelive
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年5月5日
視聴ソースのTOKYO MXではサンシャインの方の放送がまだ序盤ということもあってレビューのペースは落としますが、視聴は続けていきたいと思います。もう1回言っておきましょう、きれいな最終回でした。#lovelive
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年5月5日