「波よ聞いてくれ」12話。日ごろ私たちは虚実を明確に区別できている、つもりでいる。しかし、虚実の境はそれほど確固たるものだろうか。また確固としていていいものだろうか。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) June 20, 2020
©沙村広明・講談社/藻岩山ラジオ編成局#波よ聞いてくれ pic.twitter.com/gjCqeMc3zF
朝と夜が回って昨日と同じように学業や仕事をする。それが当たり前だと誰もが思っている。ミナレもラジオ番組に慣れてきている。けれどそんな実は、地震と停電があればすぐさま虚へと変わってしまう。#波よ聞いてくれ
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そういう時こそ真価が問われるもので、マキエとラジオ局はそれぞれ冷静に事態に対処する。だが、両者はけして同じものではない。#波よ聞いてくれ
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マキエの行動は全くのその場の判断で彼女の「実」が表れているが、ラジオ局の対応は災害対応マニュアルに則ったもの。マキエと比すれば、訓練によって作られた「虚」である。#波よ聞いてくれ
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だがそれが災害対応としての価値を毀損するか? 否。実であろうと虚だろうと、どちらも望ましい行動であることは何ら変わりはしない。その価値は「実」たる食事も「虚」たる平静な言葉も安心をもたらすことからも言える。#波よ聞いてくれ
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「電波を止めるな」。麻藤が叩き込んでいた鉄則は、虚実の波を止めないことでもある。電話も信号機も街灯も止まった「実」だけに固定されれば人は不安に耐えられない。だから虚の波を浴びせ続けなければならない。#波よ聞いてくれ
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ラジオパーソナリティとなった以上、ミナレもそうやって虚の側に立ち続ける必要がある。素人に毛が生えた程度でも場にいて喋れるのが「実」である以上、ハッタリをかませ。「虚」で役割をこなしてみせろ。#波よ聞いてくれ
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炊き出しをテキパキと行うマキエも、お便りと回答で災害時でも笑いを引き出すミナレも、災害時だからこそいつものパーソナリティのいつもの声を聞かせる茅代も。虚実は違っても真価を発揮しているのは変わらない。#波よ聞いてくれ
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それは人々の背中を押すものだ。カレーに腹を満たされ、ディレクターになったらと大言を吐き、暗いからこそ星空を見上げる。虚実の波間に立ってこそ、人は生きていける。#波よ聞いてくれ
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ミナレもまた、ラジオへの決意を新たにしながらもそれだけでは食べていけない。虚業呼ばわりされるラジオと実業たるカレーを行き来しなければ食べてはいけない。#波よ聞いてくれ
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ミナレもまた、ラジオへの決意を新たにしながらもそれだけでは食べていけない。虚業呼ばわりされるラジオと実業たるカレーを行き来しなければ食べてはいけない。#波よ聞いてくれ
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麻藤達を、札幌を、北海道を、日本全国を巻き込んでやるというミナレの決意は今はまだ虚に過ぎない。しかしそれが虚実の波間に立っていることもまた、誰にも否定できないのだ。
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というわけで波よ聞いてくれの12話レビューでした。マキエとラジオ局で見せているものが違うのではないか、という思いつきの後はびっくりするほどスルスルと筆が進みました。いや面白いものが見られた。#波よ聞いてくれ
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虚実というテーマを最初に見出したこともあり、前期の「虚構推理」を頭の片隅に置いて視聴することが多かったです。虚実の波間に大切なものがあるのは同じで、あちらは「守る作品」、こちらは「拓く作品」とでも言えばいいのかな。#波よ聞いてくれ
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強大な虚を操ることに対して倫理的な虚構推理に対して、本作は虚実の境が小さくあちこちにあるからミナレがあっさりそれを踏み越えたり踏み外してしまう。だから私たちは笑い、その踏み外し自体にも実を感じたりする。#波よ聞いてくれ
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そういう比較がしやすい意味でこの2作を連続して見られたことも、気楽に笑える方が後だったのもとても幸運でした。特に主演の杉山里穂のマシンガンなセリフ量、聞いていて本当に楽しかったです。スタッフの皆様、お疲れさまでした。#波よ聞いてくれ
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