「ゴッド・オブ・ハイスクール」11話レビュー~消える聖域~

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©2020 Crunchy Onigiri, LLC

パク・イルピョが鍵として目覚め、「ゴッド・オブ・ハイスクール」11話は彼の借力である九尾の狐の昔話から始まる。天帝を守護するもあまりの力にその天帝からすら恐れられ粛清されそうになり、天界の半分を壊滅させた九尾の狐の絶大な力。それはイルピョの借力を特別なものだと、"聖域"にあるものと位置づけるに等しい。今回は聖域と、その消滅の話だ。

 

 ゴッド・オブ・ハイスクール #11「lay/key」

 

聖域へ侵入せよ

目覚めたイルピョの力にパク・ムジンやサン・マンダクは歓喜し、ミラやデイは体の中で何かが震えるような感覚を覚える。相対するモリもその圧倒的な強さはこれまでと別の域のように感じるわけだが――やがて彼は、その領域がけして踏み込めないものではないことを知る。これまで彼は借力を自分以外の力で戦うもの、己とは別の領域のように感じていたが、イルピョの消耗ぶりを見て気付くように借力も結局は自分の心と体で戦っているのは変わらないのだ。ならば徒手空拳も借力も結局は同じものであり、その時モリから借力に対する偏見(これもある種の聖域だろう)は消え去っている。他者を通して己の考えの聖域を消滅させた結果がモリ自身の借力の発動であり、また鍵もけして絶対無敵ではないという聖域の破壊なのである。
 

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*引用画像からすると、借力の相手と自分が「同じような」状況に陥ったことがモリの目覚めのきっかけと想像される
 
 

不可侵でなければいけないもの

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しかしこれまでも描かれてきたように、聖域へ踏み込む――境界線が消えることは良いことばかりではない。自他の境界線を定め「他者に共感しつつも自分の全てを捧げたりしない」ことは、自分の中に絶対の聖域を持つことだ。この11話でもモリはイルピョのチームと打ち解けながらもテジンの行方の話はイルピョ以外にはできないし、ムジン達は鍵たるイルピョを病院に匿うことでノックスを寄せ付けまいとした。境界線なき触れ合いは可能性と同時に危険に満ちており、そこから身を守るには確かに聖域は必要なのである。
 
 

境界線が消える世界で守らなければならないのは

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聖域の境界線が人の心の尊厳を守るものであるなら、それを乗り越えるのではなく踏みにじることは人の魂を逆撫ですることだ。ノックスによる工作やイルピョとモリの覇気の影響を受けたジョン・ジュゴクがいたのは病院、ムジン達がイルピョを匿う聖域としていた場所であり、彼の暴走をきっかけに病院はGOH出場者が互いを称え合う安全な場所ではなくなってしまう。もともと大会選手よりは審判員やノックスじみた借力を持っていたジェガル・テクによってジュゴクの説得が殺しの隙に変わり、更にはヒョンボクやスンアが巻き添えで腕や足を失うのは、これまでは分けられていたGOHの試合と審判員達の戦いの境界線の消滅の合図なのである。
 
リングの上という"聖域"によって守られてきたGOHという戦いは、ムジンが宣言するようにもう続けることができない。過去という時間によって隔離されてきた惨劇すら境界線を破壊されたイルピョの怒りはジェガル・テクに届くのか。そして、モリ達はこの戦いの中で自分達の"聖域"を守り抜くことができるのだろうか。
 
 

感想

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というわけでGOHの11話レビューでした。ス、スンアーー! これまでもリング外では死人が出てはいましたが、出場選手で死人や取り返しのつかない負傷が出るのを見るのは辛い。前半でイルピョの格好良さに鼻血吹いてたの同じ話とは思えん……4話ラストの痛みをより長ーく味わわされている感があります。だからその分も、ラストはやっぱり爽やかに終わってほしい。
来週も苦しい激闘になりそうですが、モリ達の戦いを見届けたいと思います。