怪盗の正体は――「ご注文はうさぎですか? BLOOM」2話レビュー&感想

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
宝石だけでなく狙った相手の心まで盗んでしまう怪盗ラパン。彼女が主役のテレビはココアや子供達に大人気だ。そんな折、ラパンのビデオを借りたものの家にテレビの無かったシャロを千夜が訪ね……
 
劇中世界のアニメ「怪盗ラパン」の放送から始まり、普段以上にネジの外れた様子を見せる「ご注文はうさぎですか? BLOOM」2話。ラパンのカードが刺さった警官が彼女に夢中になってしまう姿(とナレーション)に、チノはラパンが盗むのはモノだけではないことを指摘する。その推察から導かれるのは、モノを盗まなくても怪盗になれるということだ。今回登場する怪盗は、ラパンだけではない。
 
 

 ご注文はうさぎですか? BLOOM 第2話「幼馴染ハート強奪事件」

 
 

1.モデル≠怪盗

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
この2話はシャロの出番のとても多い話だ。彼女がモデルになったであろうラパンの活躍から物語は始まるし、肝試しで自分も怖いのに千夜の手を引いたり、ラパンになりきるために練習を重ねたり。もっぱらツッコミ役に回るように彼女は真摯で努力家で、今回は彼女の魅力が丹念に積み重ねられている。
 
しかし彼女は怪盗ラパンのモデルであるが、怪盗とはそんな風に何かを積み重ねるものだろうか。積み重ねるのはどちらかと言えば、宝石を守るために入念に警備を張っていた警部のような人間の役割ではないか。ならば怪盗は他にいる。シャロではなく彼女を出し抜く人間にこそ、今回の真の怪盗は潜んでいる。
 
 

2.ごちうさ界の怪盗の正体は

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
怪盗とは積み重ねる者ではなく、油揚げをさらう鳶のようにポンと積み重ねを出し抜く者。そう考えた時、怪盗はアバンで既に姿を表している。チノは宝石を巡る怪盗ラパンの活躍の数々に魅了されモノ以外の盗難を指摘したが、その余韻は「宿題忘れてた!」というココアの驚きで一瞬で吹っ飛んでしまった。物語に奪われていたはずのチノの心は、呆気なくココアに盗まれてしまったのだ。
 
アバンに限らず、ココアの言動はいつも突拍子がない。今回だけでもシャロの素直な感謝や喜びをたびたびぶち壊しにしているし、肝試しもラパン鑑賞会も全てはココアの発案から始まった。突拍子のない言動はそれまでの積み重ねを出し抜くように全てを変えてしまう――場を盗んでしまう。
 
けれどラパンの怪盗ぶりが痛快であるように、ココアの怪盗ぶりはけして見る人間を不快にしない。怒られたりツッコミを入れられたりはするけれど、気付けばみなココアと仲良しになってしまう。
 

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「人の心を盗む怪盗ココアだわ!」
 
シャロがズバリ言ってのけたように、ココアは人の心を盗む天才、怪盗なのだ。
 
 

怪盗

というわけでごちうさ3期の2話レビューでした。目立ってるしかわいいのにココアに場を盗まれてしまうシャロ、不憫! まあツッコミキャラだけに不憫でナンボみたいなところあるし。結果的に彼女の魅力が引き立っている回ではあり。こういう不思議な話の分担も面白いものだと思います。