その違いが入口になる――「ラブライブ!サンシャイン!!」2期8話レビュー&感想

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
ラブライブ!サンシャイン!!」2期8話はまさかの雪景色に包まれ、こんな景色は内浦ではあるはずが無いから夢……と考えそうになる千歌に函館だとネタバラシする寸劇じみた場面から始まる。
温暖な内浦ではありえない景色も函館なら当たり前、場所が変われば見える景色も変わってくるものだ。
 
 

 ラブライブ!サンシャイン!! 2期 第8話「HAKODATE」

 

1.いつもと違った場所から見える、いつもと違った景色

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東京でのイベント以来の対面となるAqoursSaint Snowの鹿角姉妹だが、姉の聖良の態度は以前とは大きく違う。かつては突き放すように力不足を指摘してきたが、それを詫びる彼女の態度はある種のスポーツマンシップすら感じさせるものだ。Aqoursが未熟なスクールアイドルから好敵手へと立場――つまり場所――を変えたからこそ、見えるものが変わってきたのである。
Aqoursにとってこの北海道訪問は、そういう場所による違いを教えてくれる場所だ。決勝進出グループとなったAqours知名度はもう全国規模に高まっているし、観客席から見るステージはいつもと違った視点を与えてくれる。
 
ただ、そうした違いはいつも嬉しいことばかりもたらすわけではない。Saint Snowの立場が決勝で競うライバルからミスによる敗退者へと変われば千歌達はどう接したものか戸惑ってしまうし、Saint Snow自身にしても聖良と理亞では結果の受け止め方は大きく異なっている。Aqoursラブライブ決勝進出と統廃合阻止が結局は別物であったように、その違いはけして埋められないものだ。
 
 

2.まるで違うものも、これまでと違う場所から見るならば

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
隣に立つような親しい相手であっても立つ場所が違えば見えるものは違っていて、その差はけして埋めることができない。地区予選の結果に対する鹿角姉妹の受け止め方は姉と妹で違っていて、その差を2人が超えることはできない。しかし立つ場所が変われば見えるものが違うということは、逆に言えば全く接点が無いように思えるものも立つ場所によっては同じに見えてくる可能性があるということだ。性格も違えば接点もほとんど見られなかったルビィと理亞はしかし、姉を慕い別れを惜しむ妹としてとてもよく似た2人だった。
 
聖良と理亞は同じ鹿角の姉妹であり同じグループであるが、それでも全く同じではないことを地区予選の最後にさらけ出した。けれどAqoursSaint Snowが同じ決勝進出の場に立たなかったことは、ルビィと理亞が手を取り合う思わぬ機会をもたらした。同じことがそのまま救いになるとは限らないが、違うことが悲しみだけを生むとも限らない。
誰かと同じことはその誰かと違うことの入り口。けれど同時に、誰かと違うことはその誰かと同じことの入り口でもあるのだ。
 
 

感想

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

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というわけでサンシャインの8話レビューでした。2週間お休みしましたが、今月いっぱいはまだ忙しそうです。
アバンや雪国での鞠莉とダイヤのノリノリ具合に呆気にとられるも、Saint Snow敗退からのダイヤとルビィのやりとりに思わず涙ぐみ。無印のメンバー間では無かった姉妹設定ですが、母校の避けられない統廃合ともシンクロしたとても良いドラマの元になっている。ダイヤとルビィの瞳がもうきれいできれいで…… 叶わないことすら縁になっていくのがとても好きです。