CD1,000枚販売のノルマは達成できたものの、番組改編期で打ち切りの危機と試練の終わらない「おちこぼれフルーツタルト」。11話は番組継続を確信している穂歩が「よほど視聴率が落ちてスポンサーが降りでもしない限り大丈夫」などと言ったそばから、それが現実になってしまう場面で始まる。的外れで不一致に思えるものも本当にそうとは限らない、今回はそういうお話だ。
おちこぼれフルーツタルト 第11話「るっくあっとあす！」
重要な番組改変期にも関わらず視聴率0％を取ってしまったため、ラットプロ本社に呼び出されたフルーツタルトと穂歩。不安に包まれる一行の前に現れたのは、発売記念ライブで大量にCDを購入していった女の子とリリ。不審に思うフルーツタルトのメンバーにリリは女の子の正体がキャットプロ社長の小金乙だと紹介する。さらに乙は番組打ち切りを救う代わりにキャットプロが主催する超大型企画に参加するよう要求してきて……。
（公式サイトあらすじより）
1.世界は変テコな一致にあふれている
言霊と見紛うような冒頭に象徴されるように、世の中には合わないはずのものが一致したりひとまとめになることがある。キャットプロの社長代理・小金乙（おと）は19歳だがランドセルを背負った姿は小学生と一致するし、19歳が小学生のフリをするのと25歳が高校生のフリをするのは全く違うはずなのだが「コスプレ」とひとまとめにできたりする。一致やひとまとめに必要な凹凸は、案外厳しくない。
そしてその緩さは、一致して見えても綺麗に合ってはいるとは限らない内実の裏返しでもある。文京区に本拠を置き「芸能の殿堂」などと謳うラットプロは弱小事務所に過ぎないし、気に入られたからとフルーツタルトが接待まで試みたスポンサーの正体はそんなもの不要なはゆの母親であった。はゆ自身はかっこいいアイドルのつもりでもファンは彼女の乙女な部分に惹かれるように、見た目の一致は内実の一致までは約束してくれないのである。
2.探すべき一致は
スポンサー協力を取り付けてくれた乙が出した交換条件は、彼女のプロジェクト「アイドル甲子園」へのフルーツタルトの参加であった。実在のアイドルがレアカードとして登場するこのソーシャルゲームは当然、ゲームであっても「リアルとの一致」が現れてくる。フルーツタルトのレアリティががR止まりでも数字の取れる胸を持った仁菜だけはSRだし、大人気のクリームあんみつはSSSSR。ゲームと連動してアイドルの頂点を決めるべく行われる投票イベントでも、現状の彼女達では地区代表の座を得るのは非常に難しい。ソーシャルゲームの中であっても、やっぱりフルーツタルトはおちこぼれなのだ。
他のTV番組に呼んでもらうなど人気獲得のためのまっとうな手段、すなわち「まっとうに一致した」手段はフルーツタルトには使えない。そんなコネがあれば苦労はしていない。衣乃達が逆転するには、そんな内実をはねのける「的外れで不一致に思える一致」を――おちこぼれならではの、理外の一致をこそ見つけなければならない。
衣乃「私たちの個性って言ったら、最初に思いついたのがここかなって」穂歩「ここ？」衣乃「はい、この地元……東小金井でライブとかできたりしませんか？」
東小金井はライブ会場としては確かに「的外れ」だ。しかしフルーツタルトの地元という意味では「内実まで一致した場所」だ。果たして衣乃達はそこに、彼女達ならではの一致を描き出せるだろうか。
感想
というわけでおちフルの11話レビューでした。前回の乙の小学生なりきり、趣味と実用の両方だったのか。ハリー・オードと問答してほしい気がしないでもない。
今回特に笑ったのはラブエールの収録場面で、へもが衣乃の名前を呼びかけているところに彼女の偏愛ぶりを感じずにはいられませんでした。収録映像、どれも的外れなようでファン層には一致してるようでもあるから困る。
毎度ずいぶんレビューに手こずった本アニメも次回とうとう最終回。最後にどんなものを見せてもらえるか、楽しみです。
はよ「確かに、ライブのパンツは大人だったわ」はゆ「なんで知ってるの！？」
ここかわいい。というか母親登場ではゆのまた新たな表情がたくさん見られて今回もとてもかわいい。
