懐かしい初めてを描く「SK∞ エスケーエイト」。2話アバン、歴は前回をナーリー(ヤバイ)と形容する。不運や無茶の形容からランガへの称賛へ「ねじれる」その言葉はしかし、どちらの意味でもおかしくない。ねじれることで合うピント、交差するものもある。今回はそういうお話だ。
SK∞ エスケーエイト 第2話「はじめてのサイコー!」
(公式サイトあらすじより)
1.熟達者⇔初心者
前回「S」で観客を魅了する滑りを見せたランガだったが、今回再び滑る姿はそれとは正反対の初心者そのもの。歴が別人のようだと感じたり、新キャラクターのエマがランガを視界に収めながらも別人と判断してしまうほどに、前回と今回の彼は繋がって見えない。ピントが合わない。
しかし世の中には、正反対に見えるほどむしろ合うものがある。シャドウはアンチヒーローゆえのヒーロー性を得ていたし、理論派のチェリーと感覚派のジョーは喧嘩するほど仲がいい。つまりねじれた形の繋がりも、ピントの合い方もあるのだ。
練習を続ける中で見えてきたのは、ランガのスノーボード経験がスケボーでの障害になっていることだった。2歳から15年続けた経験は、裏を返せば拭い難い束縛にもなる。前回は「スケボー初心者だがスノボ熟達者」ゆえに華麗な滑りを見せたランガだったが、今回は「スノボ熟達者だがスケボー初心者」だからまともに滑れない。別人のように離れて見えた両者には、8の字のようなねじれた繋がりがあったのだった。
2.取り戻した交差点
ねじれていても繋がるのが分かったなら、必要なのは交差する点を探すことだ。そこを通り8を横に倒した∞のループをたどれれば、ちぎれて一方向に飛んでいってしまうことはない。「ガムテではないが足を固定できるスケートボード」に始まり、ランガは数々のそれに触れてしていく。
歴の面倒見の良さはけして気質だけではなく、大家族での生活の中で育まれてきたものであること。
「スノボ熟達者だがスケボー初心者」の自分と「スケボー熟達者だがスノボを知らない」歴の見方が合わさって「スケートは無限」にたどり着いたこと。
怪我のパターンは違っても、コケた分だけ上手くなるのはスノボもスケボーも同じであること。
ランガ「父さんが死んでからは、カナダでも滑らなくなったから。でも、久しぶりに板に乗ったら……なんでかな。今は楽しいんだ!」
ランガがカナダから沖縄へやってきたのは、父の死がきっかけだった。バイトを探していたのも家計を助けるためだったことを知った(繋がった)歴は、雪が降らずスノーボードのできないここはつまらないのではないかと尋ねる。それは、彼がカナダで育んだ∞がここでは繋がらないのではないかという気遣いだ。けれどランガは父の死後、カナダでも滑らなくなっていた。∞を断ち切ったのは悲しみであって、降雪の有無などではない。
本当に∞を繋げていたのは(つまりピントを合わせたのは)、そこにあった楽しさ気持ちよさだった。前回ランガがSのコース上で見た雪景色はその象徴であり、だから彼はあの滑りができた。スノボとスケボーを繋げられたのだ。
そしてランガ自身の存在もまた、様々な人間の交差点となっていく。彼にビーフを挑む日本代表候補のエリート中学生、知念実也は一体どんな∞を見せてくれるだろうか。
感想
というわけでエスケーエイト2話の考察・レビューでした。「ヤバイ」ですねこの面白さ。キャラが好きになれる明るさに満ち溢れていて、しかし陰が無いわけではない。熟練者の滑りのカッコよさと初心者の上達の喜びの両方があって、だからどちらも楽しめる。現状小生意気なチビの実也もまた、来週になればずいぶん印象が変わってきそう。
個人的に好きなのが歴の妹達のデザインややりとりで。サイドテールの左右上下そのままに2人は姉妹ながら対照的なのだけど、ケーキという交差点が出るとぐるりと繋がる。今回のテーマにぴったり沿っていて魅力的でした。奢りたい。
ねじれる繋がりはいずれ歴達に牙を剥くこともあるのでしょうが、そのあたりも含めて期待は高まるばかりです。