練習試合の始まる「灼熱カバディ」。5話冒頭、王城は負けを知る宵越達と知らぬ畦道で対応を変える。知と不知は単なる知識の問題ではなく、進む道に影響を及ぼす重大な力を持っている。
灼熱カバディ #05「試合開始ィ!!!」
(公式サイトあらすじより)
1.知から道は開ける
井浦「『負けの悔しさ知ってる人間にしか伝わらね―こともある』ってか」
王城は既に負けを知る宵越達には厳しくダメ出しし、負けどころか対人勝負の経験がない畦道はまず楽しませる。同じことを言ったとしても、負けを知っているかいないかでその効果は大きく変わるからだ。知はただ1点で終わらず、更なる知への扉となる――この真理はもちろん、王城の指導だけに限らない。王城の海外経験の知と宵越の全国大会経験の知は別競技だが互いを知るよすがとなるし、戦う相手選手の情報はその個人に限らずチーム全体を攻略するヒントになる。
もっとも分かりやすい例は今回の練習試合で、関東ベスト4の奏和高校は本来能京高校なぞ相手にしないほど格上だが、部長が王城達の"知"り合いの六弦だからこそ成立したものだ。また、練習であろうと試合を"知"るのが成長の機会なのは言うまでもない。
高谷「安心してください。前半、大差を付けてあなたを引きずり出すんで」
「知らないなら知れ」……己に関してはそれで足りる。奏和高校のエース・高谷の挑発的な言動も、バカなのか本気なのかはぶつかってみれば分かる。だが、当然ながら世界は自分ひとりでできてはいない。人は生きていく上で必ず、他者の「知らない」に突き当たる。
2.知られてないなら知らしめてやれ
井浦「『王城の友人』……ね」
他者の「知らない」は、自分の「知らない」よりもずっと複雑で多様だ。王城と六弦は互いに知り知られる関係だから友情と対抗心の入り混じった関係が生まれているが、井浦はその関係の中に入れていない。六弦にとって彼はあくまで「王城の友人」……"知"られていない。
知られない苦しみとは、己の存在を無にされる苦しみだ。知られなければ、いかな情熱も執念も相手にとっては存在しないに等しい。井浦の悔しさも日本でのカバディの"知"名度も能京高校の実力も、知られない限りその先には進まない。だから知られない存在は、まず知られるようにならなければならない。
「知らないなら知れ」の逆は「知られてないなら知らしめてやれ」だ。ロールキックに寄る宵越の3点奪取は、王城以外はほとんど認識されていなかった能京高校を"知"らしめることに成功した。
井浦「そうだ、努力すりゃ変わるんだ」宵越「ああ?」井浦「ハッタリじゃなくなったな……ハットトリック」
知られるための明確な道など無いが、そのために努力することはできる。知を積み重ねることはできる。そして、積み重ねたそれはけして無駄にはならない。
サッカー部の竹中監督は今からカバディ教本を読む有様だが宵越の強みが競技を問わないのは知っているし、王城は宵越が練習ではほとんど成功しなかったのを知っているからこそ当然のような成功に驚く。そして井浦は、かつてのハットトリックのハッタリを知るが故に宵越が3点取った意味をより深く洞察する。それが努力の具現化なのだと、自分もまた目指すべきものだと"知"ることができる。
知はただ1点で終わらず、更なる知への扉となる。本レビューの前半で僕はそう書いた。それはカバディでレイダーが取るべきが1点に留まらないのと同じだ。
宵越は開始からわずか1分で能京高校の力を知らしめ、コート外に出された仲間を救出し、井浦を発奮させた。会場の視線を奪い取った。彼が1点ではなく3点とったことは、実際の数字に留まらぬ影響力を及ぼしたのだ。その成果こそは、彼のレイダーとしての成長の証明と言えるだろう。
ただし、知は試練の扉を開く時もある。畦道は同学年の宵越の活躍に焦り、また会場中で高谷のみ視線を王城に向け続ける姿は彼の実力が未だ底"知"れぬことを教えてくれる。
能京高校と奏和高校の練習試合は、彼ら自身の想像以上の"知"の積み重ねの機会となりそうだ。
感想
というわけで灼熱カバディの5話レビューでした。知が更なる知の扉になる、という着想にまず時間がかかり、書き連ねる中でようやく宵越の3点奪取の意味の大きさに気付き……難しくなってきたな。背格好や経歴、「ありえないことを当然のようにする」共通点など、高谷の存在は宵越を刺激するところ多そう。
あと面白かったのは竹中監督がただのギャグキャラで終わってないところで(カバディのルール勉強してる=知を積み重ねてる)、この人が今後どんな役割を担うのかにも期待が出てきました。
どんな激闘が繰り広げられるのか、楽しみです。
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— 闇鍋はにわ (@livewire891) May 1, 2021