朝から繰り返し見てるんですがどうも今回は書ける見込みが立たないので、考えたことのメモだけ記録します。力不足ですみません。
ルパン三世 PART6 #03「大陸横断鉄道(嘘)の冒険」
(公式サイトあらすじより)
1.仮装が正装
今回の共通点として挙げられるのは「仮装・変装」かなと思います。ルパンが南アフド共和国のアラクネ首相に変装してマーキス侯爵の邸宅を訪れるのはもちろんそのエキストラにも変装が求められ、相手のマーキス侯爵にも執事のモートンが化けている。不二子も潜入後にわざわざメイド服に着替えるし、そのままの格好の次元や五ェ門は銭形の前でセルフ変装を披露してのけたりする。
特に注目したいのはマーキス侯爵は相手も鉄オタだから乗務員の格好で会った方が喜ばれると言ったり、象徴的なのはゲストのリーとダネイが変装によって侯爵邸の敷地へ入るのを許される点です。この3話の世界では仮装・変装こそが「正装」になっていると言えるでしょう*1。
こうした虚実の線引の危うくなった状態は、不二子の金庫室でのやりとりで一つの頂点を迎えます。彼女はお宝を探そうと金庫を片端から開けていきますが、どれも空っぽで目当てのお宝切符は見つかりません。まさか……と思いつつ、金庫室の奥に飾られた金庫の絵に鍵を差し込んでみるとこれこそが隠し金庫。「本物は絵の方だった!」という不二子の台詞からは、もはや偽物の方が正解を通り越して本物になっている状況が伺えます。
2.肥大化する嘘への対抗
偽物の方が本物。見ている分には楽しいけれど、これは見ようによっては非常に厄介だし危険です。マーキス侯爵を殺したモートンは裏切り者と思いきや屋敷の人間にも皆彼の息がかかっているし、侯爵の偽大陸横断鉄道はお宝を飲みこんだ(ふりをした)不二子を殺すためのギロチンとしてこそ機能しそうになる。偽ロッキー山脈から転げ落ちる雪玉がどんどん巨大な雪玉になるように、後半では偽物はどんどん巨大になっていく。太っちょのモートンが無理やり着込んだ侯爵の服はボタンがピンピン飛んでいきますが、これは嘘が肥大化している象徴のように見えます。
こうした嘘の肥大化をどう乗り越えるかがルパン一味の今回の課題と言えるかと思うのですが……これが今回どうしても分からない。よくある展開としては圧倒的な「真」を見せて虚実に再び秩序をもたらすのが定番でしょうが、ルパンだしそんな展開とも見えない。嘘を食い止めるのではなく乗りこなすという見方の方がまだ適切に見えますが、それもスッキリした答えとは言えない。次元の銃撃が鉄道を止めるのではなく進路変更である点、不二子が命の恩人のリーとダネイにキスをするがバチだと言ってのける点などはこれに該当するようには思うのですが、公式として導き出すには至りませんでした。
今回は「インチキだらけの冒険譚」の謳い文句通りの、全体に明確を明確に通貫する頓狂な調子に終始惑わされっぱなし。がっぷり四つ組んで相撲をさせてもらえなかったというのが正直な手応えです。うーん、やっぱりアニメは難しい。毎回脚本家がオムニバス形式なのを考えると、これは今後も大苦戦を強いられてしまうのだろうか……?
<12/13追記>
その後どうにかまとめられました。
*1:後半、ポニーに乗ってエセ西部劇みたいな展開になるのもこの延長線上にある