激闘は既に1ホール目――「BIRDIE WING -Golf Girls' Story-」13話レビュー&感想

©BNP/BIRDIE WING Golf Club
終わらない「バーディーウィング」。13話はシーズン1の最終回だが、知らなければそうは思えない内容だ。これは本当に最終回なのだろうか?
 
 

BIRDIE WING -Golf Girls' Story- 第13話(最終回)「女子の部屋割りって結構大事なことだと思うの」

「全日本高校女子ゴルフダブルス選手権」本戦が始まった。大会のルールは、トーナメント方式のマッチプレー。ホールごとに勝ち負けを決め、最終的に勝利したホール数が多いペアが次に駒を進めることができる。シード権を持つイヴ&葵は、2回戦からの登場。手堅いゴルフで勝ちを積み重ねようとする葵に対して、イヴはあくまで自分らしい攻めのゴルフを貫こうとする。一方、同じく2回戦に挑んだ優勝候補の姫川&及川ペアは、圧倒的なゴルフで相手校を打ち負かしてゆく。
 

1.区切りが正確とは限らない

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イヴ(……ほんとにチョロい)
 
最初に触れたように、この13話は最終回らしくない回だ。強敵として喧伝されてきた香蘭や灘南のペアとの試合はまだ始まらず、主人公のイヴのショットで幕を閉じたりするわけでもない。彼女の最後のセリフは、ペアの相手である葵を上手いことノセてからの「ほんとにチョロい」……来週も続きますと言われても全く違和感のない、区切りの感じられない終わりとなっている。だが、そもそも区切りなどというのはそれほどはっきりしているものだろうか?
 

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亜室「何を今更。大会の主催者はアテナ、そのCEOの一人娘が鳴り物入りで出場するんだ。目の敵にされるのは当然だろう」
 
前回、イヴは灘南の姫川みずほに対してゴルフで殺すと大見得を切った。日本最強の女子高生ゴルファーとして名を轟かせる相手に対して、新参の1年生に過ぎない彼女がだ。無礼と言って差し支えないこの行動は彼女の所属する雷凰への会場中の反感を買ったが、イヴも監督の亜室もこれを気にする様子はない。イヴに言わせればどの道決勝で喧嘩することになるのだし、亜室に言わせれば反感はこの大会がイヴの相棒である葵を売り出すためにアテナグループが主催したものである時点で雷凰は目の敵にされている。イヴと葵がどういう態度を取ろうが、彼女達が敵視されるのはとうの昔に決まっていたしとっくに始まっていて、目に見える区切りには実際はさほど意味は無いのだ。
 
 

2.激闘は既に1ホール目

目に見える区切りにはさほど意味がない。これを念頭に置くと見えてくるのは、この13話におけるイヴ達の戦いの実像である。
 

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九葉「た、たった10ホールで試合を決めるなんて……」
 
既に述べたように、今回は強敵・香蘭や灘南との対決はまだ行われていない。都道府県代表が集まる選手権であるからイヴ達はまずモブ同然の他校を蹴散らすことになり、哀れ敵校はほとんど顔すら描かれない。はっきり言って相手になっておらず、イヴと葵は眼前の敵校とは戦っていないのだ。
相手にならない相手とゴルフをする中、イヴと葵の頭にあるのはいかに少ないホールで勝利を確定させるか――いかに香蘭や灘南を上回れるかだ。これは二人に触発された灘南の姫川・及川ペアや香蘭の薫子・九葉ペアにしても同様で、両校は猛チャージをかけたイヴと葵を更に上回る成績を収めてみせる。そう、準決勝や決勝の区切りを迎えずとも、3校の戦いは既に始まっていると言える。
 

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イチナ「攻め続ける姿勢を持ち続けないと、香蘭にも灘南にも勝てないッス」
 
この13話はシーズン2に向けた謎の提示も行われている回だ。時間が無いという亜室の言葉や、葵の天鷲家に隠されている何か呪いのような過去はシーズン2で大きく物語を揺さぶることだろう。しかしそれが描かれるシーズン2自体は先であっても、強者達の戦い自体はもう始まっている。イヴ達は予選ではトップ通過を果たしたものの2回戦・3回戦では灘南の姫川・及川ペアに圧倒的な差をつけられ、実際に戦う前から苦杯を嘗めさせられてしまった。
 

灘南の姫川・及川ペア
イヴ「今日こそ灘南に勝つわ!」
葵「今日の相手は北海道神居女子なんですけど?」
イブ「それにも勝つ! 灘南にも勝つ!」

 

この13話は放送単位としてはシーズン1の最終回だが、内容としてはシーズン2へいささかの間断もなく繋がるところで幕を閉じている。なぜか? それはこれがイヴのゴルフを描く物語だからだ。彼女はギャンブルする必要がない状況でもカップへの最短を狙うゴルフをする。なら、本作もまた最短を目指さなければイヴのゴルフを描く物語とは言えない。
小さくまとまっていてはイヴの目指す地平へたどりつくことができないから、この最終回は一区切りとは言えあまりにも最終回らしくない最終回を描くのだ。それが例えるならバンカーに目玉を作るような無謀なショットであることは、製作者としても百も承知のことだろう。嗤うのは釈迦に説法である。
 
作品全体の終わりというカップを目指し、本作はまっすぐボールを飛ばして表面的な区切りを突き抜けた。この13話はシーズン1の最終回でありながら、既にシーズン2の1ホール目を回っているのである。
 
 

感想

というわけでバディゴルの13話レビューでした。シーズン2がなきゃ嘘でしょという状態だったのでそのつもりでは見ていましたが、ここで区切りを迎えることにびっくり。そしてそれを元に書くのが一番無理がないかなということでこういったレビューになりました。「なんでそんなことをする必要があるのか?」という理由に思い至ったのは一度書き上げてアップする直前です。からかう余地なく独創的で個性的で、とても本作らしい最終回と言えるのじゃないでしょうか。
 
本作、一部の方の期待の高さから視聴を決めてみたもののそれほど興味があったわけではなかったのですが面白いですね。どこでならネジを外しても構わないか加減を知悉してるというか。シリアスさとおとぼけの両方がちょうどいい塩梅にミックスされていて独特の味わいがあります。2クール目、九葉の奮闘や及川の吠えっぷりなんかにも期待しつつ待ちたいと思います。
 
 

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