抜け出せない! 正反対は似た者同士――「真夜中ぱんチ」10話レビュー&感想

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

いよいよの時の「真夜中ぱんチ」。10話ではマヨぱんの新メンバーが問題になる。正反対と似た者同士は相反しない。

 

 

真夜中ぱんチ 第10話「暴走×因縁の対決!」

mayopan.jp

1.ゆきと真咲

マヨぱんに新メンバー加入! 苺子が焦って勝手に上げた動画が騒動を呼ぶ。こっそり「ゆきりんこ」として配信活動をしていたゆきは自分が誘われたものと勘違いし、苺子が加入させたがっていた真咲はいまだ炎上がトラウマになっていて……果たして新メンバーになるのは!?

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

苺子「ずびばせん、新メンバーが入ってくれれば登録者数が一気に増えると思いまして……」

 

右往左往の「真夜中ぱんチ」。10話は動画チャンネル「真夜中ぱんチ(マヨぱん)」の新メンバーが問題となる回だ。と言ってもこれはチャンネル登録者数100万人達成を焦ったメンバーの1人苺子が勝手に予告動画を上げてしまったもので正式決定ではない。苺子は主人公の真咲を想定していたがいまだ炎上のトラウマが癒えぬ彼女は乗り気でなく、一方で自分のことかと勘違いしたマヨぱん監視役のヴァンパイア・ゆきが押しかけてきてと苺子の暴走は思わぬ波乱を呼ぶこととなる。

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

真咲とゆき。新メンバー候補のこの2人が面白いのは彼女達が正反対で、同時によく似てもいることだ。真咲は苺子以外のメンバーからも加入を望まれているが当人が乗り気ではなく、一方でマヨぱんに入りたくて仕方がないゆきの方は参加してほしくないと思われている。しかし彼女達が何から何まで正反対かと言えばそれも正しくはなく、再び動画に出たい気持ちを押し殺している真咲と加入を切望しながらも自分から入れてほしいと言えないゆきは「好きに正直」になれない点ではむしろ似た者同士だ。

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

水と油がそうであるように、正反対のものは混ざらなくとも似たような動きをすることがある。苺子の動画を見て押しかけたゆきとりぶ達マヨぱんの会話は互いが勘違いしている間は変に噛み合っていたし、ゆきの勘違いを励まそうとした真咲はこれまた勘違い(自分の血はあくまでりぶにとってだけ特別なのに、吸血鬼なら皆喜ぶと思いこんでいた)で彼女同様に顔から火が出るような思いをすることとなった。ヴァンパイアの世界の長たるマザーの血をもっとも濃く受け継ぐりぶとゆきが反目しあいながらも「好きになったら一直線」「自分の好きには正直」と互いを評しているように、正反対であることと似ていることは良くも悪くも矛盾するわけではないのだろう。そしてそれが本当に「良くも悪くも」であることを、真咲はこの10話で知ることとなる。

 

2.抜け出せない! 正反対は似た者同士

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

日が変わり、大食い動画の撮影企画のためハンバーガーショップへ向かった真咲はそこで「はりきりシスターズ(はりシス)」の橘花と乙美に遭遇する。かつて一緒に動画配信を行っていたがある事件をきっかけに真咲を追い出した、水と油のような相手……だがこの再会は偶然ではない。2人がここに来たのもお店の巨大ハンバーガーが理由であり、両者は似たような・・・・・動きの結果再び会うことになったのだ。

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

真咲が今も動画配信を続けている。それも以前なら考えられない裏方、そして関わっているのはいまや大人気のマヨぱんだと聞いて橘花と乙美は大いに興味を示し、3人は再び居酒屋で席を共にする。撮影や編集をどれくらいスマホでしているかや外注の利用具合などはりシスとマヨぱんのスタイルは大きく異なっているが、話題の中心はやはり動画の配信だ。悔しいがマヨぱんは面白いと認める橘花に真咲が笑みを隠しきれず、「おいニヤニヤすんなよ」「してないけど」と言い合う姿はまさしく喧嘩するほど仲が良いといった感じで、真咲はそこで正反対と似た者同士の幸せな共存を味わうこととなった。乙美が撮った動画を見せてもらって、自分が炎上のトラウマから抜け出しつつあるのも知ることができた。

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

大食い対決で「負けたら」マヨぱんに加入するという事実上の作戦勝ちで「好きになったら一直線」を押し通したゆきともども、真咲は「好きに正直に」なって自分も動画に出ることを決心する。序盤で正反対だが似た者同士の立場に置かれた2人は、交わらず正反対のまま同じような結果にたどり着いたと言えるだろう。だが、これは「良くも悪くも」の半分でしかない。

いざ加入発表の動画を撮影しようとした真咲達は、ゆきの指摘で動画のコメント欄が大荒れになっていると知り愕然とする。先日の乙美達の撮影した動画がきっかけでマヨぱんに真咲が関わっていると知った人達が、かつて炎上事件を起こした彼女の存在にいっせいに拒否感を示したのだ。

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

苺子が真咲を新メンバーに加えようとしたのは、もちろんこんな炎上騒動の続きのようなことを起こすためではない。チャンネル登録者数を増やさなければと焦ったからだ。けれどそのために必要と考えた「何かをドカンとやらないと」という点ではこれほど「ドカン」としたこともないだろう。この反応の大きさ自体は彼女のけんさん(なぜか変換できない)通りだとも言える。あくまで正反対なだけで、起きたことそのものは似た者同士だ。つまりここに「良くも悪くも」の残り半分がある。新メンバー加入を巡る出来事も真咲のトラウマ克服と炎上騒動も、どれもが突然の横槍などではなく「正反対は似た者同士」の法則の内の出来事に過ぎない。

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

正反対なものは似た者同士だが、逆に言えば同じようなことをしても正反対なのは変わらない。枠から抜け出たはずの真咲達はしかし、その外の更に大きな枠に閉じ込められたままなのである。

 

 

感想

以上、マヨぱん10話レビューでした。寝不足で頭が回らず1日遅れに。来週も連休中の外出でマケインレビューが遅れるのに合わせて順延の見込みです、すみません。

今回は題を「せ!」ではなく「せない!」で締める文章を書くのに悩みました。ゆきはどういう経緯で加入するのだろうと思っていたらむしろ本人は準備万端、勘違いからあそこまで恥ずかしい思いをすることになるとは思いもよらず……(かわいい)。

 

www.youtube.com

LOOK BOOKも声の変え方がすごいんだまた。そもそもLOOK BOOKというのを今回初めて知りました勉強になります。

 

©2024 KADOKAWA/P.A.WORKS/MAYOPAN PROJECT

さてさて、真咲の炎上にいよいよ再び向き合う次回、果たしてどうなってしまうんでしょう。予告だと真咲が今回の居酒屋で乙美を殴ってますが
1.ねつ造
2.画面に出てなかっただけで今回も殴ってた
3.情報共有のため同じ居酒屋に行った結果、11話で殴られてる
4.はりシスの動画を見たファンの妄想等、実際は起きていない
色々考えられますが果たして正解は!?

 

 

<いいねやコメント等、反応いただけると励みになります>