離れられない二人――「来世は他人がいい」2話レビュー&感想

©小西明日翔講談社/来世は他人がいい製作委員会

火付けと火消しの「来世は他人がいい」。2話では吉乃と霧島がある事件に首を突っ込む。何一つ一致しないようでその実、この二人は離れられない。

 

 

来世は他人がいい 第2話「誠意を見せたい。あわよくば少し好きになってほしい」

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1.二人だから起きること

先日の一件以来、自分にベタ惚れで追いかけ回す霧島に吉乃は辟易していた。そんな折、砥草会系列の組で事件が起きたため二人は四六時中一緒にいるよう言われてしまい……

 

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吉乃「知りたいっつったら教えてくれるの?」
霧島「うーん……教えない」
吉乃「くびり○すぞ貴様」

 

割れ鍋に綴じ蓋の「来世は他人がいい」。2話は吉乃と霧島がヤクザらしい事件に首を突っ込む話だ。霧島の家が所属する砥草会の系列事務所会長の娘が行方不明になり、染井組から縁談で来ている吉乃は万が一に備えて四六時中霧島と一緒にいるよう言われる……のだが彼女はこれが苦痛で仕方ない。先日の一件以来自分にぞっこんな霧島はそれでなくとも付きまとってくるし、いつも笑顔で何を考えているか分からない彼の言動は神経を逆撫ですることばかり。実際序盤の彼女は霧島に激怒しっ放しであり、胃痛とストレスがマッハだと語るのも無理もない話だ。しかし、これはけして二人の相性が最悪なことを意味しない。

 

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吉乃「危ないからやめておこうって思考回路はないのか!」

 

赤座会長の娘とおぼしき人物がクラブに入るのを見たと聞いた霧島は、そこが砥草会系列のシマではないと知りながら乗り込もうとする。破滅願望と結びついた彼の無鉄砲さに吉乃は呆れることしきりだったが、だからといって放っておいたりはしなかった。クラブが自分の祖父の染井組の所属する系列事務所の施設であることから話を通し、VIPルームに入れるよう手筈を整えたのだ。それでも後に迷惑をかけた科(とが)で組から折檻を受けたことを考えれば、お膳立てがなければ霧島はどうなっていたことか。暴走列車のようなこの男は今回、吉乃によってかろうじて軌道から外れずに済んだと言える。


吉乃と霧島が一緒にいて起きることは、必ずしも悪いことばかりではない。これは予測不能な霧島の行状に悩まされる吉乃の方も同様である。

 

2.離れられない二人

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吉乃(なんであんな全力で人のこと殴れるんや。なんであんなに強いねん……違う、私が弱いだけや。こんなところで逃げてたまるかボケ!)

 

赤座会長の娘を追って霧島とクラブに乗り込んだ吉乃は、フィリピンマフィアから5億もの金を奪ってしまい身を隠していた娘の雇った護衛に殴打されてしまう。激怒した霧島も反撃しVIPルームは大乱闘の様相を呈するのだが――その時吉乃は、ただ怯えてみているだけではなかった。12歳の時に同級生・上級生20人の体中の骨をへし折ったという逸話は嘘ではないと思わせる霧島の暴れっぷりを見て彼女の胸に湧き上がったのは、自分の弱さへの怒りと逃げてたまるかという負けん気だったのだ。結果彼女は足を刺された霧島を殴ろうとした半グレを後ろからドライヤーで殴りつけ、本物のヤクザ同然の啖呵を切るに至った。

 

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吉乃「やめんか。あんたええ加減にしいや、1回殴られただけで殺すアホがどこにおるんじゃボケ!」

 

霧島が吉乃の中から呼び起こすもの。それは彼女の土性骨である。吉乃は一般人に近い価値観を持つ一方で誰にも屈しない向こうっ気も兼ね備えているが、それがあらわになるのは霧島が危ういからだ。神経を苛立たせるからだ。霧島がいるから吉乃は全力で腹を立て全力でツッコみ、そのはらわたをさらけだせる……放っておけば己すら焼いてしまう霧島の火を抑えられる彼女は一方で霧島に着火されてもいるとも言え、だから二人のやりとりには不思議と漫才のような調和が生まれてくるのだろう。まさしく割れ鍋に綴じ蓋である。

 

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吉乃「金もいらないし角膜もいらないわよ。それならこれから新しいドライヤー買いに行くから付き合って。この間壊したから」
霧島「……! もちろん!」

 

急な葬儀で別行動になっても、一人が暴走しても、結局吉乃と霧島は二人一緒になって戻ってくる。事件に気をつけるまでもなく、彼女達はとっくに離れられない二人になっているのだ。

 

感想

以上、来世は他人がいいのアニメ2話レビューでした。吉乃と霧島の会話がすごいバランスで成り立っているあたりから今回のテーマとしてはこれかな、と。四六時中追い回すのではなく買い物に付き合う形で一緒にいさせてもらったりと、湿っぽさなしで二人の距離が近づいている感はあります。ロマンスっぽさはないが。さてさて、ラストで現れたバイクの男の正体やいかに。

 

 

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