里帰りの二人――「来世は他人がいい」6話レビュー&感想

©小西明日翔講談社/来世は他人がいい製作委員会

帰り来る「来世は他人がいい」。6話では夏季休暇で吉乃が大阪へ帰省する。しかし「里帰り」しているのは彼女だけではない。

 

 

来世は他人がいい 第6話「無関心ならいっそ嫌われたほうがいい 前編」

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1.もう1人の里帰り

元子役で女子アナになることが決まっている汐田菜緒には3年前、霧島と交際した過去があった。彼女が大阪のイベントに参加する日取りに合わせて、霧島は吉乃の大阪への帰省に同行し……?

 

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吉乃「あっつ! たった3ヶ月いなかっただけなのにメチャクチャ久しぶりな感じするわ」

 

昔と比べる「来世は他人がいい」。6話は里帰りの話である。1年間は東京の深山一家にいることに決まっている吉乃だが、1学期が終わり夏休みともなれば当然大阪の染井組へ帰省することになる。挨拶を兼ねて縁談相手の霧島も同行……という流れだが、これまでの話と違うのは新たに汐田菜緒なる女性が登場している点だ。霧島と交際経験があるこの女性は吉乃に対する霧島の感情が執着なのか好意なのか見極めるのに好適な「昔の女」であり、彼女も大阪に来ていた(というより霧島が何らかの目的でタイミングを合わせた)ために今回の話に絡んでくることとなる。そして、この菜緒の状況にもまた里帰り・・・の要素が含まれているのは注目すべき要素だろう。

 

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男「すげーかわいい! 日本帰ってきたんだ」

友達「菜緒ちゃんも来年からは芸能界に戻るんだし」

 

菜緒はかつては子役としてドラマに出演していたが、親の仕事で海外に行くため芸能界を引退した過去があった。そんな彼女が日本のキー局の女子アナとして就職を決めている今の状況は日本への「帰」国にして芸能界への復「帰」であり、すなわちここには二重の里帰りが内包されている。更に言えば今回のラストで彼女は霧島を呼び出し閨を共にしているが、過去に交際していたことを鑑みればこれもまた里帰りの一種であろう。霧島と深い関係にある2人の女性が里帰りする、そこに今回の対比の構図がある。

 

2.里帰りの二人

今回の話には、吉乃と菜緒の2人が里帰りする対比が隠されている。そして、対比である以上彼女達の里帰りはけして同じではない。

 

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吉乃「はー、着いた着いた! やっぱ東京から遠いわ大阪!」

 

吉乃が里帰りで見せるもの。それは東京で気を張っている時から離れた素の姿だ。故郷に帰れば懐かしい食べ物が山ほどあるし、暮らしている人々のノリもどこか似通っている。吉乃が笑っている顔を久しぶりに見たと霧島は言うが、この里帰りで彼女はまさしく羽根を伸ばしているのだろう。

 

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菜緒「霧島くんてほんと胡散臭い」

 

吉乃が伸び伸びとした姿を見せる一方、菜緒の里帰りはあまり幸せそうではない。彼女は自分が成功することにどん欲で実際周囲と比べても一番上手くやっているのだが、パーティや仕事で覗かせる内面はとても窮屈そうだ。周囲の人間が陰口を叩いていると知りながら笑顔で接し、危険な噂のある霧島との過去を表向き無かったことにしたかと思えば身の危険を恐れて再び彼を頼った(上で再び肉体関係を持った)り……言いたいことを言っていた以前と変わったと霧島に指摘された菜緒は国柄に合わせているのだと返すが、つまり彼女は吉乃と逆に里帰りによってかえって不自由になっていると言える。まさしく対照的だ。

 

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霧島「ははっ、刺さること言うなあ」

 

今回の話は里帰りの話である。吉乃と菜緒の対照的なそれはもちろんのこと、3年前付き合った菜緒との再会も霧島からすれば一種の里帰りのようなものだ。だが、この里帰りが彼に何をもたらしているのか今のところは明示されていない。なぜわざわざ日程を調整してまで菜緒と会おうとしたのか。女に嫌われている女が好きな彼は今の菜緒をどう見ているのか? それはおそらく次回の話で語られ、吉乃の見極めにも影響することだろう。ひょっとすれば、霧島が十二歳の時に吉乃に合うために大阪に行った話にまで時計の針もまた「帰る」のかもしれない。

 

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この6話は吉乃が帰省する回だが、「里帰り」しているのは彼女だけではない。霧島もまた里帰りするが故に、これは彼女達二人の里帰りの話なのである。

 

感想

以上、来世は他人がいいのアニメ6話レビューでした。前回のテストよろしくシチュエーションが鍵なのかな、じゃあ里帰りかな?とは思いついたものの、それが菜緒にも当てはめられることになかなか気付かず難儀しました。
吉乃の反応見てると大阪の食べ物を食べたくなってきます、創作串カツっていったい何が出たんでしょうね。さてさて次回は。

 

 

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