究極のアルファ、現る――「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」11話レビュー&感想

© 創通・サンライズ

現出の「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」。第11話では驚くべきものが姿を現す。それは究極のアルファである。

 

 

機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) 第11話「アルファ殺したち」

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1.アルファとは何か

ジフレドのオールレンジ攻撃を破り、シャロンの薔薇の内部への干渉を試みるマチュ。一方、キシリアはイオマグヌッソ内部でついにシャアを発見し……

 

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「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」。第11話の副題は「アルファ殺したち」である。何から書くか迷ってしまう回だが、ラストに出現した「アレ」の必然を考えるためにもこの副題は欠かせない。
ギリシャ文字の第一番目たるアルファは、現代でも始まりや先駆者、指導的な立場を指す言葉としてしばしば使用される。「インフルエンサー」がかつて某SNSでは「アルファツイッタラー」だったことを覚えている人もいるだろう。頭だとか親だとか、自分を動かし時に自分を縛り付けるものはすなわちアルファである。

 

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この第11話、マチュやニャアンは確かに「アルファ」に逆らっている。オールレンジ攻撃もしょせん使い手の頭脳の有限さからは逃れられないし、マチュの危機を見たニャアンは咄嗟に主人であるキシリアを撃ってしまった。とはいえ、こんな程度の「アルファ殺し」は大なり小なり誰でもやるところだろう。キシリアだってゼクノヴァを自分に示したアルファであるシャアと赤いガンダムに絶対的な未練があるわけではなく、イオマグヌッソの中で再会した彼を殺そうとすらしたのだから。本作が殺すべきアルファは、こんなちっぽけなものではない。

 

2.究極のアルファ、現る

人は誰でも己のアルファを殺し、その度少しだけ自由になる。ならば当然、物語が最後に殺すのは最大のアルファでなければならない。

 

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本作はこれまで、シャアの行方とシャロンの薔薇の行方を物語上の大きな謎=「アルファ」として扱ってきた。だが、アルファとは本来唯一無二だからアルファなのだ。2つのアルファが存在すると言うならそれは既にアルファではなく、不倶戴天のもう一方を排除しても解決にはならない。シャア(の乗った”赤いガンダム”)もシャロンの薔薇ももはやアルファたりえず、だからこそ物語はそれ以上のアルファを呼び出そうとする。そう、最後に現れた「アレ」……RX-78-2 ガンダム、「機動戦士ガンダム」の主役ロボットこそは本作究極のアルファだ。

 

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「彼女が作ったこの世界を終わらせるために」……”向こう側”からやってきたというシュウジの言葉と共に姿を現すガンダムには希望よりも恐ろしさがある。確かに、「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」にとって本物のガンダム以上のアルファは存在しない。依存度はアナザーガンダムや富野監督以外が手掛けた宇宙世紀作品の比ではなく、物語の異常な進行速度すら「機動戦士ガンダム」の世界あってのものだ。全くもってふざけているし、だからこそ本作にはガンダムに叱られる・・・・・・・・・資格がある。「機動戦士ガンダム」の外面にもっとも近く、内面からもっともかけ離れた本作は、ついにガンダムというアルファと対峙する瞬間を迎えた。自分たちを動かし自分たちを縛り付ける、最大の呪縛との対決の時を迎えた。

 

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アルファ殺しは人間を自由にする。マチュは自分を、世界を、ガンダムという名のアルファから自由にしなければならないのだ。

 

感想

以上、ジークアクスの第11話レビューでした。アルファ殺しって結局なんだよ、と考えている内に、最後のガンダム以上にこの作品にとってアルファ的な存在ってないよなと思い浮かんでこんなレビューができました。マチュにとってはシュウジというアルファを越える戦いなのかもしれません。まあ、何はともあれ次回の最終回を待ちたいと思います。

 

 

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