夏の帳尻合わせ――「mono」11話レビュー&感想

©あfろ芳文社アニプレックス・ソワネ

次のステップの「mono」。第11話は夏の終わりの駆け込み話だ。帳尻合わせが済んで、夏が終わる。

 

 

mono 第11話「山梨かき氷マップ完全制覇」

mono-weekend.photo

1.夏の帳尻合わせ

なんとかアンの宿題が終わり、残った夏休みの予定を話し合うさつきたち。まだかき氷を食べていないというアンの提案により、山梨のかき氷巡りをすることに……?

 

©あfろ芳文社アニプレックス・ソワネ

過ぎ去る「mono」。第11話はアンが夏休みの宿題を終わらせるところから始まる。一度は記憶から消し去りまでした彼女だが最終日には終わっていなければならず、前回ラストからここまでの勉強は一種の帳尻合わせと言えるだろう。そして面白いのは、宿題だけで夏の帳尻は合わないことだ。

 

©あfろ芳文社アニプレックス・ソワネ

さつきたちが付き添ったおかげか、アンが宿題を終えた時にはまだ夏休みは2日半残っていた。逆に言えば残りの時間どうするか決めねば夏休みは終わらず、アンはそこで1つの帳尻合わせを提案する。今年はまだかき氷を一度も食べてない、観光情報にあった県内の名店を全部回ろう……と。2日でかき氷店8店を回るとはずいぶん無茶な話に思えるが、来年は受験勉強でこんなことできないと言われればさつきは結局押し切られてしまう。「帳尻が合ってしまう」のだ。公共交通機関を駆使して3つのかき氷を半日で腹中に収め、彼女たちはヒグラシの鳴き声にようやく夏の終わりを実感する……のだが、直後に猛烈にトイレに行きたくもなってしまった。夏の終わりに駆け込むための帳尻合わせには、別の大きな帳尻合わせも伴っていたのだった。

 

2.始めるための帳尻合わせ

©あfろ芳文社アニプレックス・ソワネ

かき氷巡りは帳尻合わせの旅である。後半、残り5つの店を回る際も目に止まるのは帳尻合わせの要素だ。かき氷は3人で1つを分けようと決めたはずがうっかり1人1つ頼んでしまったり、次の店では1つが小さいので結局3個頼みそうになってしまったりとすぐには調整できない。甘いものばかり食べた分しょっぱいひねり揚げが美味しく感じられたり、時期が合わずお預けになっていた桃のかき氷に上がるアンのテンションなど、昔話の盛り付けのようなこのかき氷の話は不思議なバランス感覚で成り立っている。……そして、さつきたちにはまだもう少しだけ重要な「帳尻合わせ」が残っている。

 

©あfろ芳文社アニプレックス・ソワネ

8つのかき氷店を巡ったさつきたちが最後に寄り道した場所。それは平和観音の近く、韮崎を一望できる場所であった。さつきはそこでタイムラプスを撮影、ようやく写真部らしい活動をするわけだが――話はそこで終わらず、彼女は映画の撮影も提案する。そう、3人が所属しているのは写真部と映画部が合併した「シネフォト部」であって、写真撮影だけでは帳尻が合わない・・・・・・・。かき氷については後に行きつけの店でも扱っていたというオチがつくが、それではさつきはきっと映画製作を提案できなかったことだろう。今回のかき氷巡りはいわば、学校生活に戻るのに必要な最後のピースを見つけるための壮大な帳尻合わせである。夏休みを終わらせるとはすなわち、夏休みの次を始めるため準備でもあった。

 

©あfろ芳文社アニプレックス・ソワネ

終わりがあれば始まりがある。それはもちろん、次回でアニメが最終回を迎えようと続いていくさつきたちの日々も同じことだ。夏の帳尻合わせが済めば、その先には次の季節が待っているのである。

 

感想

以上、monoのアニメ11話レビューでした。前半ラストの印象で当初は「時間を合わせる話」なのかと考えたのですが、もっと色々な要素の釣り合いがとれていくのを考えると帳尻の方かな、と。猛暑ウォーキングとと大量のかき氷では帳尻は合ってない! 恐怖!
日常をカメラで見るように少し違う視点を与えてくれる本作、アニメ最終回はどんな話になるんでしょうね。楽しみです。

 

 

<いいねやコメント等、反応いただけると励みになります>