光まばゆい「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」。第3話ではマチュがクランバトルに挑む。キラキラは間合いの中にある。
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」第3話「クランバトルのマチュ」
1.相手あるところ間合いあり
初めて乗ったMSで敵を倒したマチュに素質を見出し、クラバ(クランバトル)に参加しないかと誘うアンキ。悩むマチュは街の落書きが戦いの中で見た「キラキラ」に似ているのを思い出し……
二人組の「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」。第3話は再びマチュに視点が戻る回だ。彼女をクランバトルに誘ったアンキはマチュが「間合いが分かってる」と評するが、今回はその意味を考えたいと思う。
間合い、それは1人では成立しない概念である。力というのは距離が近すぎても遠すぎても行使できず、私たちは自分と相手の適切な距離=間合いを測って動く必要があるためだ。そして、間合いが重要なのは語源である武術に限った話ではない。
例えばこの第3話、ジオンのシャリア・ブル中佐はサイド6で逮捕されたエグザべ少尉の救出に動くが、そのやり口はけして一方的ではない。コロニーに強襲揚陸艦で侵入して圧力をかけるが一応は地位協定の範囲内だし、過去日付の旅券を用意してエグザベ少尉の滞在を法的に整えもする。最低限の顔を立ててもらえば相手もそれ以上事を荒立てないわけで、彼はサイド6との適切な距離を把握していたと言えるだろう。つまり「間合い」が分かっていたのだ。
相手あるところ間合いあり、人が何かと接触する時には間合いの管理が不可欠である。マチュをクラバに誘ったアンキは部下が反対する=かえってマチュがやる気を出すのも織り込んでいただろうし、赤いガンダムの少年シュウジは間合いの詰め方が独特でマチュは彼にドギマギせずにいられない。MS同士が戦うクラバに限らず、この第3話は間合いの重要性についての話なのだ。
2.間合いの中のキラキラ
間合いとは相手との距離である。前節では人間関係や政治の間合いに触れたが、もっとも明示的なのはやはり戦い=クラバにおいてだろう。
シュウジと共に初めて参加したクラバで、マチュは相手のMAV戦術に苦戦する。2機1組でアドバンテージを確保するこの戦術でも重要なのは僚機との間合いであり、ジオン兵出身らしい敵の戦いぶりをシャリア・ブルは基本に忠実と評している。だが同時に彼は、MAV戦術の解説を「……と、突撃機動軍の教本にあります」と締めくくってもいる。つまり相手クランのMAV戦術は、間合い管理はあくまで教本のそれでしかない。
閃光弾で視力を奪われ=間合いを把握していた力を奪われ、マチュのジークアクスは大ピンチに陥る。けれどシュウジが「もっと自由になっていい」と語りかけたように、間合いは目で把握するものとは限らない。いや、人との間でだけ発生するとは限らない。挟み撃ちで勝利を確信していたであろう相手のザクに突き刺さったのは、直前の激突で弾き飛ばされていたジークアクスのヒートホーク……マチュが誘い込んだもう1つの「マヴ」の攻撃であった。そう、彼女はヒートホークと自分の「間合い」を掴むことで相手の意表をついたのだ。僚機に限らず何かを相棒としてアドバンテージを補完し合うところに本物の「マヴ」の……間合いを測る力の強みはあった。
間合いとは心の目で見るものであり、そして心の目には肉眼や常識に頼っていては見えない真実が映る。シュウジと繋がる時マチュは「キラキラ」を見るが、それが彼女を導くのは言葉にできない何かが――「よく分かんないけどなんか分かった!」と言える何かが映っているためだろう。アンキはマチュが間合いを分かっていると言うが、これを単に戦闘の才と捉えるのはニュータイプを撃墜王と捉えるのと何も変わりはしない。間合いにはもっと深淵を、目には見えない何かを映し出す力が潜んでいる。
キラキラは間合いの中にある。間合いを捉えるマチュの才とはすなわち、真実に手を伸ばす力なのだ。
感想
以上、ジークアクスのアニメ3話レビューでした。PVなどでも印象的に使われていた「間合い」でアタリをつけてみると拾える要素が多く、マチュの素質を改めて感じられる回だったと思います。ここまでが「Beginning」で描かれた部分ということで、次回からはいよいよ見たことのない物語に。予告でも色々登場していましたが、どんな話になるんでしょうね。
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— 闇鍋はにわ (@livewire891) April 23, 2025
ブログ更新。マチュの「間合いが分かってる」とは単に強いだけじゃないんだという話。#GQuuuuuuX #ジークアクス #ジークアクス感想戦