あ行-裏世界ピクニック

ありふれたゲートの先――「裏世界ピクニック」12話レビュー&感想

異世界が遠くない「裏世界ピクニック」。最終回となる12話も、空魚と鳥子は幾度も表と裏の世界を行き来する。だがそもそも、異世界に行くだけが本作の"ゲート"なのだろうか?

解消よりも釣り合いを――「裏世界ピクニック」11話レビュー&感想

置き去りにしたものを取り戻しに行く「裏世界ピクニック」。米軍救出のため再びきさらぎ駅へやってきた空魚達だが、米軍のドレイク達と空魚達では時間の流れに大きなズレがあった。11話の鍵は、このズレの取り扱いにある。

正気と狂気――「裏世界ピクニック」10話レビュー&感想

©宮澤伊織・早川書房/ DS研 正常と異常が互いに滑り込む「裏世界ピクニック」。10話冒頭、空魚は鏡に自分ではないはずのものを見て、それは一度眼鏡をかけた後は外しても見えない。その後再び異常が起きるわけでもない。境界線は知らぬ間に越えるものだ。

崩れる私と世界――「裏世界ピクニック」9話レビュー&感想

ますます境の怪しくなっていく「裏世界ピクニック」。前回は裏世界との中間領域が舞台だったが、9話はそこにすらいかない。今回は「似ている」ことで裏世界も空魚も区切りの怪しくなっていくお話だ。

変わる目の付け所――「裏世界ピクニック」8話レビュー&感想

異形ばかりが怪異とは限らぬ「裏世界ピクニック」。今回依頼者となる瀬戸茜理は空魚を霊能力者と勘違いしており、また猫の忍者に襲われているという彼女の相談は一見からかいとしか思えない。共通するのは「区別がつかない」こと――読み解きもそこを鍵に行い…

ひとときのサマーリゾート――「裏世界ピクニック」7話レビュー&感想

はみ出し者のパラダイス「裏世界ピクニック」。波と潮風、空と雲、そして銃。空魚と鳥子が堪能するサマーリゾートはいかにもな浜辺のようでズレていて、しかし彼女達はそれを堪能している。7話は奇跡のような時間とその終わりを示唆する、夏のひとときのお話…

区切りあるお付き合い――「裏世界ピクニック」6話レビュー&感想

どこに闇が覗くか「裏世界ピクニック」。きさらぎ駅を本拠とした米軍はしかし、駅のホームには見張りを置かない。今は安全だが「電車が来た時」危険だからだとドレイクは言う。つまりそれが安全と危険の「区切り」であり、この6話は区切りを見つけ直すお話だ…

消失する境界――「裏世界ピクニック」5話レビュー&感想

世界と自分の裏側を覗く「裏世界ピクニック」。前回置いてけぼりにしてしまった小桜への詫びで始まった飲み会は、そのまま空魚と鳥子の仲直り会に移行する。その区切り、境界のなさこそはこの5話の鍵だ。

おっさんか猫か、それが問題だ――「裏世界ピクニック」4話レビュー&感想

世界と心の裏を旅する「裏世界ピクニック」。4話の怪異は「時空のおっさん」。噂の内容を語りつつ、空魚はおっさんでなくもっとかわいいもの(猫)でもいいのでは、と疑問を投げかける。確かにこの怪異で「おっさん」は表面的なものに過ぎない。そしてその"…

死あればこその生――「裏世界ピクニック」3話レビュー&感想

独り占めするつもりだった小さな世界が姿を変えていく「裏世界ピクニック」。超自然の罠・グリッチが大量に潜み、歩くことすら危険と判明した裏世界。けれど危険なのはグリッチだけとは限らない。3話はそういう、死の臭いが生を引き立てるお話だ。

私の見る世界は不正確――「裏世界ピクニック」2話レビュー&感想

くたびれ大学生・空魚と美人女子・鳥子の2人行を描く「裏世界ピクニック」。2話では空魚は鳥子に突然の壁クイをされ戸惑うが、それが求愛だというのは勘違いで鳥子は自分と空魚に起きた身体的な変化を確認したいだけだった。1話で見られたのは認識と存在の直…

全ては認識から始まる――「裏世界ピクニック」1話レビュー&感想

ネットの発達した現代の新たな怪談を描く、「裏世界ピクニック」。1話冒頭、主人公の紙越空魚(かみこしそらお)は裏世界で自分が死んでも誰も気にしないだろうと考える。それはつまり彼女が世界から認識されていないということだ。この1話で認識と存在が直…