便利屋の仕事は完璧――「ブルーアーカイブ The Animation」3話レビュー&感想

(C)NEXON Games / アビドス商店街

愉快な仲間の「ブルーアーカイブ The Animation」。3話は便利屋68を名乗る4人の――そう、完璧な仕事ぶりが光る回である。

 

 

ブルーアーカイブ The Animation 第3話「便利屋68にお任せください!」

sh-anime.shochiku.co.jp

1.シロコ達にはできないこと

(C)NEXON Games / アビドス商店街

セリカをさらったカタカタヘルメット団を撃破したアビドス廃校対策委員会だが、借金の問題は変わらずバスジャックや銀行強盗、果てはアイドル活動まで会議で提案される始末。そんな中、いつものように入った柴関ラーメンでシロコ達は見慣れぬ少女達と出会い……?

 

(C)NEXON Games / アビドス商店街

カヨコ「公私ははっきり区別しないと……受けた仕事はきっちりこなす」
アル「ええ。それこそが私達、便利屋68!」

 

地獄の沙汰も金次第の「ブルーアーカイブ The Animation」。3話はシロコ達とは別の一団が登場する回だ。陸八魔アル、浅黄ムツキ、鬼方カヨコ、伊草ハルカの4人で構成されたこのグループは「便利屋68」なる企業を立ち上げ、金次第でなんでもするアウトローを標榜している。……だが「金次第」なのは実のところ彼女達に限った話ではない。なにせ、主人公サイドであるシロコ達アビドス高校こそは借金という「金次第」の問題に悩まされているのだから。

 

(C)NEXON Games / アビドス商店街

アヤネ「そうです却下です! 犯罪はいけません!……そんなふくれっ面をしても駄目なものは駄目です」

 

カタカタヘルメット団を退治したとはいえ、シロコ達の置かれた状況は厳しい。多額の借金を抱えたアビドス高校は破産寸前であり、そのことは彼女達の判断力を大いに狂わせてもいるほどだ。会議の場でも悪質商法にたやすくひっかかったり、バスジャックして生徒数を増やすだの銀行強盗で金を稼ぐだの言い出したり、果ては学園アイドルに手を出そうとまで……金のためならなんでもやろうとするシロコ達の思考はすっかり「便利屋」同然に陥ろうとしていると言えるだろう。だが、会議なら笑い話で済むがこれらを実行されては敵わない。学校のために犯罪に手を染めたりアイドル活動を始めたら、その瞬間本作はもうジャンルが変わってしまう。どれほど物騒だったり支離滅裂なことを言い出しても、主人公サイドであるシロコ達には越えてはならない一線というものがあるのだ。……そう、シロコ達・・・・には。

 

2.便利屋の仕事は完璧

どれだけおかしなことを言い出しても、シロコ達には越えてはならない一線がある。だが、それはあくまで彼女達に限った話だ。では、彼女達でなければ? 本当の「便利屋」なら? アルを始めとした便利屋68の面々は、やり過ぎなほどにその自由さを教えてくれる。

 

(C)NEXON Games / アビドス商店街

ムツキ「タダ働き確定」
アル「なっ、何ですってーーー!!??」

 

前回ラスト、カタカタヘルメット団の本部を撃滅したアル達の印象は一言でいえばクールなものだった。金次第で法に違えることも平気で手を染める、情け無用のアウトロー集団……そんな連想をするのが物語の定型というものだろう。だが、この3話では早々にその印象は裏切られる。ターゲット(の猫)を無傷で奪還する依頼だったにも関わらず爆発に巻き込んでただ働きになってしまったり、次の仕事のために後先考えず傭兵を雇ったばかりに金欠でラーメン1杯を4人で分け合おうとするその姿に私達は、前回ラストがある種の引っかけだったことを悟らずにいられない。「金次第ならなんでもする」便利屋68の実態とは、「金が絡めばどんな醜態でも晒してのける」おもしろ集団であった。

 

(C)NEXON Games / アビドス商店街

アル「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。もう少しなのよ!?」
傭兵「でも給料が出ないんじゃねー」
傭兵「後は自分達でなんとかしなよ」

 

もちろん、アル達は単なるコメディ担当というわけではない。民間の傭兵を雇って数でも勝っていたとはいえ、シロコ達を苦しめるその実力は本物である。けれど時給を値切った傭兵達に定時で帰られてしまい、「これで勝ったと思わないことね!」と三流悪役そのもの(と自分達でもツッコむ)の捨て台詞を吐いて逃げるアル達の姿は、見ようによっては銃や戦闘の腕よりもずっと魅力的なものだ。そう、「3話を面白おかしく盛り上げる」ことが彼女達への真の依頼であったとしたらこれほどの仕事ぶりはなかなかあるまい。もちろんこれはメタ的な見立てではあるが、アル達に今回課せられた役割の実態とはそういうものだろう。

 

(C)NEXON Games / アビドス商店街

アル「分かりました。その依頼、便利屋68にお任せください」

 

便利屋68は金次第でなんでもやる便利屋である。シロコ達にはとてもできない滑稽な役回りであろうと、金が絡めば完璧にこなしてみせるのが彼女達なのだ。

 

感想

以上、ブルアカのアニメ3話レビューでした。前回まではともかく今回はアバンを1話のテーマに使えるんじゃないか?と思って試してみましたが、まあ全くのハズレではなさそうかしらん。アル社長はOPの笑顔に納得、ハルカは地味に危うそう。さてさて、今回のラストで出てきた黒服は次回でどんな役回りを演じてくれるのでしょうか。

 

 

<いいねやコメント等、反応いただけると励みになります>