重なる領土――「ブルーアーカイブ The Animation」6話レビュー&感想

(C)NEXON Games / アビドス商店街

侵犯の「ブルーアーカイブ The Animation」。6話では3つの勢力が激突する。人が譲れないのは「領土」である。

 

 

ブルーアーカイブ The Animation 第6話「ゲヘナ風紀委員会」

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1.心の領土

激突寸前の対策委員会と便利屋68を突然に砲撃してきたのは、なんと強大な勢力ゲヘナの風紀委員会だった。彼女達は圧倒的な戦力に物を言わせてシロコ達に言うことを聞かせようとするが……!?

 

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イオリ「だから見逃してやるよ。さっさと撤退するならな」

 

違背の「ブルーアーカイブ The Animation」。6話はゲヘナ風紀委員会の面々が本格登場する回だ。彼女達は同じくゲヘナ出身の便利屋68を追ってきたのだが、異なる行政組織を持つアビドスてシロコ達と便利屋68が睨み合っているところにいきなり砲撃を加えるそのやり口はかなり過激なもの。おまけに、メンバーの一人イオリは事情こそ説明したもののシロコ達に「撤退すれば見逃してやる」とまで言う。まるで国境を侵犯して好き放題する強国のようにすら見える……いや、そのものだろう。

 

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本作における学校が国とほとんどイコールなのは今までも示されてきたが、この6話では特に顕著だ。故にイオリとシロコ達の対峙もまた、国同士のそれに近い性質を持つ。比較にならないほど戦力差のある相手に歯向かっても痛い目を見るだけだし、更に難題を突きつけられる結果にもなりかねない……しかし、シロコ達はイオリに従おうとはしなかった。

 

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シロコ「私達は撤退しない」

 

シロコ達にとって、アビドスの自治を侵されることは自分達の居場所を奪われるのと同義である。例え名目上は独立を保っていても、ゲヘナの言う事に唯々諾々と従わなければならない状況は心の「領土」を侵犯されるに等しい。領土だとか領分だとかいったものは必ずしも目に見えるとは限らず、譲れないそれはしばしば心の中にこそある。そして、目に見えない以上それは根無し草にも――法や規律に縛られない者達にもまた存在するものだ。

 

2.重なる領土

シロコ達が勧告を拒絶したことで、絶望的な戦力差での戦いが始まるかと思われたアビドスとゲヘナ。しかしそこに割って入ったのはなんと、先程までシロコ達と銃を向け合っていた便利屋68の面々であった。

 

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アル「アウトローって……私達のアウトローって、誰が相手でも自分の信念を曲げないことじゃない?」

 

便利屋68が譲れないもの。それはアウトローとしての矜持である。前回はプライドをこじらせて世話になったラーメン屋を爆破する愚行を犯しもしたが、本来この矜持は彼女達に進むべき道を指し示すものだ。「誰が相手でも新念を曲げない」……シロコ達が見せたゲヘナに怯まない姿勢は、社会的な立場は異なりながらも便利屋68の目指すアウトローそのものであった。だから自分達もそうあるべく、便利屋68の社長・陸八魔アルは(実際は自分達が狙われていたのではなかったと知ったにも関わらず)シロコ達に力を貸す。

 

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アル「さっきは邪魔が入っちゃったけど、あのまま戦ってたらどうなっていたかしらね」
シロコ「そんなの決まってる」
アル「確かに決まってるわね……」
シロコ・アル「「私達が勝つ!」」

 

前回否定したように、この共闘は友情ではない。シロコもアルもあのままやりあったら自分達が勝っていたと譲らない。けれどその自信を重ねるからこそ今は協力関係を結ぶことができる。目に見えなくとも領土は譲れないものだが、重ねる・・・ことは可能だ。

 

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ヒナ「詳しい話は帰ってから。校舎で謹慎していなさい」
アコ「はい……」

 

領土を重ねることは、一面的なそれに比して文字通り次元の違う力を与える。シロコ達の先生の指揮下で共闘した対策委員会と便利屋68は互いの力を引き出し合って多数の敵を撃ち倒していったし、彼女達に高圧的な態度を取っていたイオリは風紀委員会行政官のアコに逆らえず、そのアコすら委員長のヒナが出てくればあらゆる決定権を喪失してしまった。アビドスとゲヘナの対立は遅れてやってきた対策委員会のホシノを目にしたヒナが公式に謝罪するという予想外の結末を迎えるが、こちらもヒナの言動からはホシノに「重なる」何かただならぬ過去が理由であることが伺える。それが単純な腕っぷしの強さとは次元が違う何かだからこそ、キヴォトス最強とすら言われているヒナは自ら頭を下げたのだろう。

 

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ヒナ「小鳥遊ホシノ……あなたを忘れるわけがない。あの事件の後アビドスを去ったと思っていたけど、そうか……だからシャーレが」

 

人や組織にはそれぞれ譲れない領土があるが、それは争いだけを生むわけではない。時に重なるその領土は、私達に新しい可能性もまた示してくれているのだ。

 

感想

以上、ブルアカのアニメ6話レビューでした。折り返しということもあって盛り上がるお話。シロコが車のドアを盾代わりに突っ込む場面、不在のホシノが「重なって」見えるのがいいなと感じました。あとあまり目立ってませんでしたが火宮チナツのデザインは割とツボ。
さてさて、ヒナが伝えた情報でシロコ達は次にどう動くんでしょうね。

 

 

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