
草津の湯でも治らない「機械じかけのマリー」。第5話、マリーは恋心に苦しむ。恋わずらいとはどんな病なのだろう?
機械じかけのマリー 第5話「嫉妬するマリー」
1.マリーの恋わずらい

アーサーへの恋愛感情を自覚したマリーは、彼の近くにいるだけで仕事もミスしがちになってしまっていた。このままで追い出されてしまうと焦るマリーの前に、修復されたマリー2が現れサポートを申し出て……?
ドキドキが加速する「機械じかけのマリー」。第5話はマリーがままならない自分の心に悩む回であり、ここではその恋の病の嘘と真を追ってみようと思う。まずは彼女のアーサーへの恋の状態の定義から始めてみたい。

前回自分がアーサーを好きなのだと理解したマリーだが、その影響は甚大であった。彼の笑顔が直視できないほど眩しく感じ、近くにいることすらままならない……恋はしばしば病に例えられるが、アーサーから見ても不調に思えるマリーの様子は確かに病気に近いところがある。そう、彼女は恋をしているというより恋を

今まで当たり前にできていたことができなくなってしまった自分を「弱くなってしまった」とマリーは嘆くが、彼女の友人と言える立場になったロボットメイドのマリー2がアドバイスしたようにこれは逆も然りであった。やっとアーサーとちゃんと話せたところを刺客に邪魔されたマリーは、拳銃で武装しているのも全く恐れず相手をのしてしまう……この「強さ」は恋がもたらす弱さと同じところから生まれる、弱さの反作用のようなものだと言えるだろう。だが、それだけでは話はまだ半分だ。
2.嘘と真の恋わずらい

マリー(口が……! 口が勝手に動いてしまう!)
弱さの反作用としての強さは、恋わずらいそのものを解決してはくれない。後半ではマリーはアーサーが自分よりマリー2を好きなのではと考えそっけない態度をとってしまうが、思ってもいないことを口が勝手に喋ってしまうこの状態はやはり一種の「わずらい」だ。

自分は嫉妬している。指摘を受けたマリーは己の醜さに愕然とせずにいられなかった。友達であるマリー2に汚い感情を向けるだなんて、弱くなるよりもずっとたちが悪くて始末に終えない。アーサーがマリー2と一緒にいたのは改造のためと知ったマリーは謝罪とともに嫉妬を打ち明けるが、彼の反応は意外なものであった。アーサーが感じたのはなんと軽蔑ではなく、ヤキモチを焼くマリーへの愛おしさだったのだ。

恋わずらいは人を色々な形で苦しめる。今まで通りにできなくなったり、理屈の通らないことをしてしまったり……まるで、今までの自分が嘘になってしまったかのように。けれど、だから平静を取り戻すべきだというのは必ずしも正しくない。大切な花瓶を割られても腹が立たず、しようのない行動がかわいらしく見えてしまうのもこの病の効用だからだ。そういう意味では「恋わずらい」が重篤なのはむしろ、マリーのこととなると判断基準がおかしくなるアーサーの方だろう。そして、そんな彼にマリーは自分の恋わずらいが重くなるのを感じずにいられない。そうさせる自覚のないアーサーを「ずるい」と思いながらも、もうこの病は治らないと思わずにいられない。限度はあるにしても、それは解決する必要もなければそもそも解決できるはずもない病であった。

その病にかかった時、人は今までの自分ではいられなくなってしまう。恋わずらいは人の嘘を真に、真を嘘に変える病なのである。
感想
以上、機械じかけのマリーのアニメ5話レビューでした。マリーが「直視できない」のは自分やアーサーの嘘と真ではないか、というのを構図にしていくとこんな感じに。マリー2が全方面で重要性が増していてすごいな、ミサイルにリボンとフリルまでついてるし邪魔者を追い払いもするし。次回は「囚われのマリー」だそうですがいったい何が起きるんでしょう。

丸ワイプの本来の役割を逸脱してるのにこれだけで映像が死なない。画面設計ってすごい……!
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— 闇鍋はにわ (@livewire891) November 3, 2025
ブログ更新。恋わずらいってどんな病?という話。マリー2の縁の下(?)の力持ちぶりが楽しい。#機械じかけのマリー#mechanicalmarie