6人目は錨星――「ラブライブ!スーパースター!!」 2期2話レビュー&感想

©2022 プロジェクトラブライブ!スーパースター!!
星を加える「ラブライブ!スーパースター!!」。2期2話ではきな子が本当の意味でLiella!の一員になるまでが描かれる。彼女の輝く場所はどこにあったのだろうか?
 
 

ラブライブ!スーパースター!! 2期 第2話「2年生と1年生」

きな子が入部し、6人になったLiella。しかし、きな子の入部後、スクールアイドル部の新規入部希望者は一向に現れない。きな子によると、原因は練習が厳しそうという噂からだった。
そこで新入生が入りやすいよう、練習メニューを軽いものに変更することにしたLiella!。
しかし、今年こそラブライブ!優勝を目標としているにもかかわらず、練習メニューのレベル落とすことに違和感を感じたかのんは──。

公式サイトあらすじより)

 

1.桜小路きな子は宙ぶらりん

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きな子「しゅいません」
かのん「初めは誰でもそうなるよ」

 

かのん達Liella!のライブに心奪われ、スクールアイドル部への入部を決めた新1年生・桜小路きな子。しかし、入った途端にOPのように歌って踊れるわけはもちろんない。全くの未経験者のきな子は不安定なポーズでバランスを保つこともできなければ、ダンスを踊っても位置合わせすらできない。また現状ただ一人の新入部員である彼女をかのん達はよく気遣っているが、逆に言えば大切にし過ぎでまるできな子はお客様か何かのような扱いになってしまっている。身体的にも精神的にも、きな子はLiella!で自分が立つべき場所をまだ見つけられていない。スクールアイドルをやるとは決めたものの、彼女は今も前回で言うところの「宙ぶらりん」の状態にある。
 

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きな子「違うっすよ。練習が厳しいからじゃなくて、きな子が全然体力ないんす」
 
宙ぶらりんの状態というのは辛いものだ。懸命に走っても先へ進めている手応えはなく、前を走る人の背中が遠くなる焦りは更に激しい空回りを生む。実際、体力がないから朝練を、という彼女の頑張りはスクールアイドル部の練習の厳しさを必要以上に周囲に感じさせてしまって他の1年生の入部を遠ざけてしまう有様だ。きな子の場合はスクールアイドルだが、このようにやることなすこと裏目というもどかしさは多くの人が身に覚えがあることだろう。
 

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かのん「そっか、練習ないんだ……」
 
新入生が及び腰で入部してくれない状況を改善すべくかのん達は新たに練習メニューを考えるが、未経験からのスタートを重視したそれは彼女達が目標に掲げていた全国大会、ラブライブ!優勝には明らかに練習量が足りない。自分を気遣って目標を優勝から出場に落とすかのん達の姿は、きな子には優しくも辛い光景だ。かのん達だけならもっと遠くまで走れるのに、自分が最後列で宙ぶらりんなばかりに――だが、それは一面的なものの見方に過ぎない。
 
 

2.メイの羨望

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きな子「申し訳ないっす! パンは食べてしまったので今はこれしか……」
メイ「ちげーよ。何勘違いしてんだ」

 

今回はきな子だけでなく、もう一人の新入生である米女メイにもスポットが当たる回だ。初対面時に「何見てんだ!」ときな子を睨んですくみ上がらせた彼女は一見すると乱暴者で、今回もメイに2度に渡って呼び出されたきな子は恐喝されるとばかり思ってしまうほど。しかし2度目の呼び出しの際に彼女がきな子にかけた言葉は、意外にも励ましの言葉であった。
 

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メイ「桜小路はさ、やってみたいって思ったんだろ? スクールアイドル」
きな子「え?」
メイ「だから入ったんだろ。優勝目指してて、練習も厳しいって知ってて入ったんだろ」
きな子「それは……そうっすけど」

 

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メイ「だったら、そのまま突き進んでくれよ」
きな子「え?」
メイ「自分がやりたい、目指したいって思ったことを信じてみろよ! 周りの声なんて気にするな」

 

メイは言う。覚悟を決めて入ったのなら、自分のその覚悟を信じてみろと。周囲の目に右往左往するなと。きな子の背中を押してくれる言葉なのは間違いないが、これは彼女がいわゆるヤンキーキャラだから発した助言なのか? 否。
 

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1話の描写から、私達はこの荒っぽい少女が本当はLiella!の大ファンであることを知っている。スクールアイドルに興味津々なのを昔なじみの若菜四季から見抜かれていて、それでもなお入部へと踏み出せずにいるのを知っている。そう、強がっていてもきな子以上に宙ぶらりん・・・・・なのがメイという少女の正体であり、彼女にはきな子が自分より遥かに先へ進んで見えているのだ。実際、2期で最初にLiella!に加入したきな子は2期生の最前線を走っていると言って差し支えないだろう。
 

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きな子は自分が宙ぶらりんだと思っていた。けれど本当は、彼女は既に輝き始めていた。メイのようにそもそも走り出せてもいない人にとって、一歩を踏み出したきな子の姿はそれ自体がスクール"アイドル"だったのだ。
 
 

3.6人目は錨星

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どうしようもなく宙ぶらりんだと思っていた自分は、しかし既にスクールアイドルの世界に足を踏み入れている。それを自覚したきな子は、おずおずとだが自分の意見を述べ始める。それはLiella!の"お客様"ではなくなるためには絶対に必要なステップだ。
 

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きな子「あの……やっぱり戻しませんか。きな子がこんな事言うのは失礼かもしれないっすけど。きな子もやっぱりLiella!さん達と優勝目指して頑張りたいんす! きな子が憧れたのは、こんな風になりたいって思ったのは、優勝目指して必死に頑張っている先輩達なんです! 大変でも前向きに頑張っている先輩達なんです!」
 
自分が憧れたのは、新入部員が入るか入らないかの損得ではなく優勝目指して努力するLiella!である――これは5人が揃って走ってきたかのん達にはけして言えなかった、いや見えなかったことだ。彼女達にまだまるで追いつけず、その背中を眩しく見つめるきな子でなければ指摘することもできなかったLiella!の輝きだ。最後尾だとしても確かに一緒に走っている彼女は、だからこそ先輩達の輝きの本質を掴むことができていた。どんくさい足手まといにすら見えたきな子はその実、海のように広い世界で自分を見失いかけたかのん達を繋ぎ止める"錨"だったのだ。
 

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きな子「ふいぃぃぃ~~~っ!」
かのん「じゃあもう一周行くよーー!」

 

きな子はけして器用な人間ではない。残りのメンバーが加入した時、技術面ではあっさり追い抜かれてしまうのかもしれない。けれどLiella!の何たるかを誰より知っているのは彼女であり、かのん達がまた迷うことがあれば、その度にきな子は道を指し示す光になってくれることだろう。自分の輝く場所を見つけて、だからきな子は今回本当の意味でLiella!の一員になれたのだ。
 
 

感想

というわけでラ!ス!!2期2話レビューでした。1日遅れになってしまってすみません。メンタルが参ってしまっておりました。1日経って気を取り直して視聴を繰り返して、「錨」という思いつきが全体に適用できるか検証しながら書いていった感じです。こうやって捉えてみると、メイの励ましがとてもいじらしく思えてきました。あと世話を焼く若菜がメイに寄せる感情にも期待が高まります。さて、ラストで出てきた謎の少女の正体やいかに。
 

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すみれ「そう、わたしにもっとオーラさえあれば! ってじゃかましい!」
 
ノリツッコミするすみれが相変わらずかわいい。
 

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愛おしさいっぱいの目で可可を見るすみれがかわいい。
 
 

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