「歌舞伎町シャーロック」22話。匿名掲示板で始まるパン職人(助手)のイースト菌の話題、長屋から全く離れて見えるそれは実は探偵達の事という身近な話題。距離とは、見たものとそのまま一致するわけではない。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年3月14日
©歌舞伎町シャーロック製作委員会#歌舞伎町シャーロック pic.twitter.com/30jukM8Dup
一人称を始め全く別人のようでも、見る人が見ればワトソンが書き込んでいるのは一目瞭然。旅をしていると嘯きながら実はネカフェにこもっている彼は、連絡がつかないことから想像するよりも案外近くにいた。#歌舞伎町シャーロック
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そこで語る過去から見えるのは、彼も実は人間関係での悩み多き人生を送ってきたこと。善良で堂々たる凡人と思えた彼も実のところ、推理落語でしか社会と繋がれぬシャーロックを始めとした不器用な長屋の住人とごく近い人間だった。#歌舞伎町シャーロック
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対して、シャーロックはパイプキャットに残りながらもハドソン夫人達とまともにコミュニケーションも取れない。変わらずごく近くにいるようでその実、今の彼はこれまでになく遠くにいる。味気ない飯をただ食うロボット。#歌舞伎町シャーロック
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戻ってきたアイリーンがどれだけ甲斐甲斐しく世話を焼いても、彼の心を遠い世界から呼び戻すことはできない。物理的な距離が心の距離と等しくないことは、事件後ワトソンが歌舞伎町にはいても失踪と匿名と暗喩の仕切り(壁)で長屋から距離を取った事実も証明している。#歌舞伎町シャーロック
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「モリアーティは生きている」……シャーロックは1人そう言う。肉体的な死は精神的な死や残した影響の死まで意味しない。モリアーティはシャーロックの心の中で生きているし、彼が脱走させた第七刑務所の囚人はまだ全員の行方は分かっていない。#歌舞伎町シャーロック
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シャーロックは、死の彼方に去ったモリアーティに近づき過ぎている。近づき過ぎれば今度は周囲が見えない。それは結果的に周囲から遠く離れているのと同じで、だから今の彼は変人落語探偵の時でも着ていた服の着用すらまともにできない、変人グルメすらしない。#歌舞伎町シャーロック
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必要なのは、それぞれで適切な距離を測ることなのだろう。アイリーンはシャーロックにぴったり寄り添うことはできないけれど、パンツを脱げないようにして上着を着せることならできる。シャーロックを追いかけられなくても、その場所をワトソンに連絡することはできる。#歌舞伎町シャーロック
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自分がシャーロックとモリアーティの関係を壊したことだけに近づき過ぎてしまっていたワトソンも、そこから少し離れることで視野を広く取り戻す。自分が2人の関係を壊したのは事実だが、それだけではない。自分がシャーロックを繋ぎ止めたもまた、視界に入れていい事実なのだ。#歌舞伎町シャーロック
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しかし、近過ぎも遠過ぎもしないその距離を測るのはひどく難しい。シャーロックが殺人を犯したと見える状況に対して、ワトソンは適切な距離を測ることができるだろうか。#歌舞伎町シャーロック
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というわけで、歌舞伎町シャーロックの22話レビューでした。最初は「遠いようで近い」「近いようで遠い」だけで書けるかと思ったのですが、どうもスッキリせずにウンウン唸って「適切な距離」というテーマに行き着きました。#歌舞伎町シャーロック
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切ないなあ。モリアーティへの救いと長屋の住人への救いは重なっていなくて、シャーロック達は自分でそれを見つけなければならない。20話で抜けた底から、希望は更に落ち続けている。#歌舞伎町シャーロック
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それでも、苦しく辛い私達のティーポットを、この作品はきっと笑顔で満たしてくれる。そう信じて、残り2話を見ていきたいと思います。#歌舞伎町シャーロック
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年3月14日