「虚構推理」12話。死を繰り返した九郎に琴子は栄養補給を勧め、自らも頭脳労働の疲労で28時間も寝入る。消耗に対する釣り合いが描かれているわけだが、釣り合いを取るとは「秩序を守る」ことだ。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2020年3月29日
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鋼人七瀬を倒せば秩序が全て守られるわけではなく、仕事を終え車外に出た琴子は「神様だって作れるかも」と謎めいた言葉で紗季を困惑させている。この時、秩序は崩れている。#虚構推理
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熟睡する琴子に代わって秩序を守るのは九郎だ。なぜ単独行動したか、六花はなぜこんなことをするのか……そういった話を聞き、紗季は納得すると同時に九郎への未練に踏ん切りをつける。引きずり続けた失恋からの回復は、つまり秩序の回復だ。#虚構推理
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2人が長時間会える隙を作ってしまった琴子は風呂に潜り、九郎が来たと知れば転倒し、体を乾かす間もなく九郎に迫りよる。ハチャメチャな慌てようだが、そうでもしなければ彼女の心の平穏(秩序)は守れない。#虚構推理
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琴子が九郎に好意を過剰なほど示すのはなぜだろう? それはきっと、九郎の言葉が嘘だらけだからだ。紗季との会話を見ても彼の琴子への思いは明らかで、なのにつれない素振りをする。嘘をつく。虚実の秩序を守るには、九郎の嘘の分だけ琴子は好意を正直に表現しなければならない。#虚構推理
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だから九郎が嘘ではなく正直に好意を伝えれば、今度はその分だけ琴子が嘘をつかなければ秩序は守れない。砂糖だけが多くては料理にならないように。
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けれど同量の虚実を交換できたなら、そこには安心という名の均衡が取れている。二年間をスキップしたために私達にはあいまいだった恋人の秩序は、こうして守られることとなった。#虚構推理
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思い返せば本作はこれまでの11話は、全て安穏とした終わりは迎えていなかった。大蛇の時もそうだし、鋼人七瀬の撃破が決定された前回ですら七瀬かりんの汚名という問題を抱えていた。全て先を見通せぬ不穏な「つづく」で終わっていた。
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話数が残っているから「つづく」だったのではない。作品世界の秩序が守られていないから、ここで終わってはいけないから「つづく」だったのだ。#虚構推理
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七瀬かりんの汚名は結局ネットの外にはみ出さない噂に過ぎず、警察には否定されるであろう事が語られる。殺人者・七瀬かりんという新たな想像の怪物が生み出されなかったのは、彼女の名誉(という秩序)が芸能人としての死を招いた噂の時よりは守られた証拠なのだろう。#虚構推理
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六花の目論見はひとまず破られ、琴子と九郎は今後もそれを許すつもりはない。そして2人の恋人としての関係もはっきりしている。秩序は守られている。だから今日は「穏やかな日」になりそうで、物語は安心して終わることができる。
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続編への色気を出して終わる作品は数多く、本作も余地は残している。けれどこの12話で描かれるのは、テーマをやり切った確かな終わりである。最終回だけに許される「終」の文字には、その誇りもまた映し出されているのだ。
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というわけで虚構推理の12話レビューでした。最後に来て本作と上手く「踊れない」のではないかとハラハラした先週でしたが、どうにか自分の中で折り合いをつけることができました。秩序を取り戻すことができました。#虚構推理
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何より、毎回キリよく終わりはせず「つづく」と表示されてきたことに一貫性を見出だせたことが大きい。TV放送向けではないのかもしれませんが、大テーマが最後に姿を現す物語が僕は大好きです。#虚構推理
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アクロバティックな(無茶苦茶という意味ではなく、軽業的な)構造がむしろ秩序を最重要視して終わるのは、それこそ軽業師が演目を終えて着地するような気持ちのいい締めであったと思います。良い頭の体操になりました、スタッフの皆様、お疲れさまでした。#虚構推理
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