波の基点は君の中――「ラブライブ!サンシャイン!!」2期6話レビュー&感想

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
いよいよ地区予選の日が訪れる「ラブライブ!サンシャイン!!」2期6話、その日は入学希望者を100人以上集めるタイム・リミットでもある。つまり地区予選で見せるものが学校存続に「波」及するのであり、今回の肝はそれを起こせる変化の探求だ。
 
 
 

変化とは波である

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
変化とはもともと、一箇所だけで起きることは少ない。例えば善子が堕天使ヨハネとして振る舞えば梨子もつい釣られてしまうし、フォーメーションは聞き間違えられたのをきっかけに「フォーリンエンジェルズ?」「ずら?」「ら……ラ……ら?」としりとりに変わってしまう。変化は常に、波のように広がっていくものなのだ。
そういう変化を起こすために千歌は難度の高いパフォーマンスに挑むが、練習を繰り返しても一向にできるようにならない。それは、内面が外面に大きく影響する本作において、パフォーマンスもまた波及の結果起きる変化でしかないからだ。変化の基点はもっと内側、千歌の心の中にこそあったのだった。
 
 

千歌という波の基点

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

「普通怪獣」のワードが示すように、千歌の自己評価はずっと低いものだった。確かに彼女は作曲や服飾ができるわけではないし、穂乃果のように学校を救えていたり生徒会長になっているわけでもない。けれど本作で起きる変化は多くの場合、千歌にこそ発端があった。彼女が直接何かを成せなくとも、彼女が志したからこそ曜達がスクールアイドルを始め9人のAqoursが生まれた。みんなを引っ張るような形ではなくとも、彼女が起こした変化こそは9人の変化の始まりにあった。変化の、波及の基点は彼女にこそあった。
だから千歌の心が自分の力を認識すれば、それは変化となって彼女だけに留まらず広がっていく。その体はこれまでできなかったバク転ができるように変化し、果南達も苦い過去を乗り越えられるようになる。千歌の努力を見ればこそ、皆もまたそれに追随するパフォーマンスを披露できるよう頑張ることができた。
そして、Aqoursが新たな境地を見せたなら――変化したなら、それはきっと世界にも波及していくことだろう。それこそは彼女達の起こした「MIRACLE WAVE」なのである。
 
 

感想

というわけでサンシャイン2期6話のレビューでした。「普通」と「特別」だけだと書けそうもないなあ、と思っていたのですが、堕天使リリィやしりとりをWAVE=「波」と捉えられたのをきっかけにブレイクスルーができました。ありがとう梨子、君のかいた恥は無駄ではない。「ウェルカムトゥヘルゾーン♪」の善子の嬉しそうなこと。
 
それにしてもまあ、最終回にやって良さそうなテーマを何度突破しているんだ。1期12話といい、サンシャインには「まだ残りがあるのにここにたどり着いちゃうのか」と驚かされ続きです。そして話数は未だ折返し付近。この先、何を見せてくれるんでしょう。