終わりに向けて、終わりあるからこそかけがえのない時を描いていく「ラブライブ!サンシャイン!!」2期。11話では浦の星女学院の閉校祭が開かれるが、それはよしみ達級友の発案で千歌達の主導したものではない。どこか懐かしさすらある今回の話は、千歌達に一時の休息を許す暖かなお話だ。
ラブライブ!サンシャイン!! 2期 第11話「浦の星女学院」
浦の星女学院最後の新学期が始まった。よしみ、いつき、むつをはじめとした生徒たちからの、“最後にドカーンと盛り上がる閉校祭をやりたい”という提案に、感激しつつ快諾する鞠莉。明日に迫る本番に向け、この学校で過ごした日々に思いを馳せながら着々と準備を進めるAqours含む全校生徒たち。予期せぬトラブルが起こるも、理事長である鞠莉の全面的なサポートと生徒全員の頑張りでピンチを乗り越える。そしていよいよ浦の星女学院最後のお祭り、生徒全員の力で作り上げた“閉校祭”当日を迎える──。
(公式サイトあらすじより)
1.眩しさの影にある、まだ失われていないもの
2クールかけた話の中、千歌達は大きな成長を遂げてきた。初めての東京でのイベントでは誰からも票を入れてもらえなかったのが、地区予選を突破し今や堂々たる優勝候補。それがけして見かけだけのものではないことは、函館で鹿角姉妹の間に起きたトラブルを解決したことや前回の卒業後の進路の話からも分かる。
だが繰り返すが、それは成長であって千歌達は最初から立派だったわけではない。初めてのライブで人が集まったのは地元の人の温情あってのことだし、千歌も梨子も他の皆もそれぞれに悩みを抱えていた。そんな彼女達はいなくなってしまったのだろうか? 違う。千歌達はどこまで行っても千歌達のはずだ。ともすればその眩しさに見失いそうになるが、千歌達はやはりどこにでもいておかしくない普通の女の子に過ぎない。
2.失われるものを、失われる前に刻みつけて
函館や正月という時間・空間を超えて戻ってきた浦の星女学院で、閉校祭で、千歌達はかつてと変わらない姿を見せる。女性向け同人誌が好きだったり、ラブライブマニアだったり、わけのわからない食べ物を作ったり。そう、彼女達は確かにこんな子達だった。
物語が始まった時のように懐かしいそのありようはしかし同時に、かつてと全く同じではない。ダイヤはラブライブ好きを秘密にしていたし、善子には曲を弾いてくれる友達などはいなかった。ルビィが司会をするなど、かつての人見知りぶりからは考えられなかったことだ。
変わったように見えるものは案外変わっていないが、変わっていないように見えるものは案外変わっている。志満や美渡が浦の星女学院に変わらぬ匂いを感じても、学校を知る人達が賑やかに集まっても、浦の星女学院はもうすぐ閉校する。全ては、変わっていく。
千歌達もまた、ラブライブ決勝を経て、閉校を経て、3年生の卒業を経て変わっていくだろう。今日ここにいた彼女達は、いずれいなくなるだろう。
だから彼女達は自分たちの心に、画面の向こうの私達に刻むのだ。この日この時、確かに彼女達がいたのだと。大きく大きく成長した、しかし以前とまるきり違うわけではない彼女達がいたのだと。この閉校祭は、級友達が主導したこの空間は、千歌達に等身大の姿に戻ることを許す最後の時間だったのだ。
バカバカしくて楽しい、明るい姿を描き切って千歌達は最後のステージへ赴く。母校を、そして物語のテーマをAqoursは刻みつけに行くのである。
感想
というわけでサンシャイン2期11話のレビューでした。涙腺を刺激されながら何書いていいか分からんと悩むこと数日。千歌達からテーマを拾えず困っていたのですが、今回はむしろテーマを持たないことがテーマなんだと気付いてこういった内容になりました。正直に言いまして、函館行きから毎回泣きそうになっております。「いつも通り」のものすら泣きに変えられるとお手上げする他ない。2人で笑う千歌と曜とか、満面の笑顔のダイヤさんとか、鞠莉の「ごめんなさい」とかももう……
話数は残すところ2話、そして劇場版。ああ、早く見たくもあり見終わるのが寂しくもあり。
あと焼きみかん試してみましたが、温度が上がると甘みがはちきれんばかりになりますね。ホイルで包んでトールターで5~10分、ホイル開いてもう5~10分と作るのも楽。冬に向けて良いものを教えてもらいました。