ラブライブ決勝だけでなく、様々な終わりの近づく「ラブライブ!サンシャイン!!」。2期10話は幼き日の鞠莉・果南・ダイヤから始まり、彼女達は流れ星に願うために様々に「違う」場所から星を探そうと試みるが上手く行かない。「違い」には結果を変えるような力は存在しないわけだが、ならば違いには何の意味があるのだろう?
ラブライブ!サンシャイン!! 2期 10話「シャイニーを探して」
新年早々、千歌はお年玉をせがんだりと元気いっぱい。浦の星女学院での生活も、あとたったの3ヵ月。その想いを胸に、北海道から駆けつけてくれた聖良と理亞に特訓をつけてもらうAqours。そんな中、卒業後はそれぞれ違う進路へ進み、会えなくなってしまう3年生の3人は、幼い日に見ることができなかった流れ星を、今度は9人で見に行こうと夜の内浦に集まるのだった──。
(公式サイトあらすじより)
1.違いは結果を変えられない
違いが結果を変えないのはアバンの回想に限らず、この10話で度々描かれる事柄だ。鞠莉達3人の進路はそれぞれ他の2人と「違う」ものだがそれが選択を変えるようなことはないし、かつて鞠莉が家を抜け出すのを止めようと両親が彼女の部屋を2階3階と「違う」部屋にしたことは彼女の意思を欠片も変えることはなかった。
違いは結果を変えたりしないことを鞠莉は、千歌達はよく知っている。地区予選で見せた他校との圧倒的な「違い」は、浦の星女学院の統廃合の運命を変えることはできなかったのだから。
2.違いに秘められた力とは
違いには結果を変える力はない。だがそれは、違いが無力であるという意味ではないはずだ。千歌達はμ’sと「違い」統廃合(廃校)から母校を救えなかったが、それは級友達がどんなに素敵な仲間かを引き立てる結果になった。応援と特訓に来てくれた鹿角姉妹はそう長居はせず千歌達と別行動(違う行動)を取るが、そこには姉妹で遊園地に行く楽しい時間が待っている。千歌が家族からもらったお年玉は世間一般で言うようなものとは「違った」けれど、それは彼女にとって何よりの励ましになった。
どれもが結果を変えるようなことはしていないけど、そこには違いなしでは現れなかった結果も確かに生まれている。日本とは違う海外では必要になるからと鞠莉が自動車免許を取ったように、違いには結果を広げる力――あるいは「現実を拡張する力」こそが備わっているのである。
魔法で飛ぶのではなく、車で雲を抜けて。雨を晴れに変えるのではなく、雨を全て降らせて。拡張された現実は少しだけ不思議で、確かに一つのラインを越えていて、しかし遠い世界のものではない。μ’sとは「違う」千歌達は、彼女達だけの景色を、輝きを、奇跡を私達に見せてくれるだろう。
感想
というわけでサンシャイン2期10話のレビューでした。通常より遅れてしまってすみません。車で空を飛ぶ、というのをどう位置づけるのかとても悩みまして。「結果を広げる」として書いてきたものを最後に「現実の拡張」として読み替えることでなんとか通せたかなあ、という感じです。2期2話を思い出さずにいられない話だった。
とにかくまず感情が揺さぶられるのですが、その先に進むのが難しい……マフラーで髪が少しゆったりしているダイヤさんがかわいい……
前回前々回の1年生組の話をしっかり受け継ぐ、素敵な話でした。