全てはギャップから――「ご注文はうさぎですか? BLOOM」1話レビュー&感想

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
夏を迎え、普段の制服では暑さの厳しくなってきたラビットハウス。浴衣やベストなしではどうも上手くいかず、ココア達は夏服を作ろうと思い立ち……
人気シリーズ「ご注文はうさぎですか?」第3期は、暑いからアイスコーヒーを飲もうと考えた青山ブルーマウンテンがラビットハウスを訪れ、アイスコーヒーならぬ冷やしコーヒーの立て看板に興味を惹かれるも浴衣姿に甘兎庵と勘違いして帰ってしまう……という一幕から始まるわけだが、彼女の行動は全てギャップが原因となっている。この1話は、物語の基本とも言えるギャップをめぐる話なのだ。
 
 

 ご注文はうさぎですか? BLOOM #01「にっこりカフェの魔法使い」

 
 

1.人を動かすギャップ

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
ギャップというのは想定との差異だから、基本的には人はギャップには困るものだ。ラビットハウスの制服は夏の暑さにはギャップがあるし、かといってベストを外すとイメージカラーとのギャップが生まれてしまう。気温や重量などの想定以上の負荷にバテてしまったり、思い出の品であってもホコリをかぶってしまったりするのも全てはギャップからだ。
しかし逆に見るならギャップは人を動かすもので、それを埋めようとして意外な交流が生まれることもある。チノがココアにおぶさるなどバテた時以外は起きないだろうし、チノの母親の残した理想のピンク色の生地はココアのお母さん呼ばわりを生む。最たるはもちろんブロカント(フリーマーケット)で、そこでは誰かにとって不要なギャップが誰かにとっては求めていた(足りなかった)ギャップを埋めるものに変わる。ギャップは人を悩ませるが、だからこそ変化を生み出すものである。
 
 

2.人を楽しませるギャップ

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
同時に、ギャップはそれそのものが人を楽しませることもある。ブロカントでつい余計なものを買ってしまったり叩き売りの口上が楽しまれるのは日常とのギャップがあるからだし、古着だってココアのものをチノが来たりリゼのものを千夜やシャロが着れば違った反応が生まれてくる。普段は妹の立場のチノが迷子から「お姉ちゃん」と呼ばれて照れるように、ギャップは時に人を思わぬ喜びに誘うものだ。
何より象徴的なのはやはりBパートのラストで、ココアは手品セットを引き取って帽子から飛び出す花でチノを魅了する。手品とは本来起きないはずの出来事を起こす、つまりギャップを操る魔術師のような者だから人を楽しませられる。チノにとってココアは、誰よりその目を奪うギャップの源泉なのだろう。
 
 

3.だから迎えられる3期の始まり

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
新たな制服を求めたり、コーヒーではなく古物を売ったりと普段と少しギャップのある30分はしかしそれ故に楽しく過ぎ、ラビットハウスは新たな制服を迎える。それは今までとちょっと違う、けれど浴衣やベスト無しほどは違わず、これまでとのギャップを楽しめる新しい装いだ。そうやってギャップが許容範囲に収まったからこそ、ラビットハウスは再び開店できる。そしてだからこそ、「ご注文はうさぎですか? BLOOM」はここから本当の始まりを迎えるのだ。
 
 
 

4.感想

というわけでごちうさ3期のレビューでした。2017年の「ご注文はうさぎですか?? 〜Dear My Sister〜」以来約3年ぶりの再会になりますが、そうこんな作品だった……関係の変化があるとは言え時間が止まっているような気分になるな。安心感あり、3期全体を振り返った時にどんなテーマを見つけられるかなという楽しみもあり。のんびり見ていきたいなと思います。
 

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
おさげ千夜 is cute.