前回チノが千夜とシャロに店の手伝いを頼み、連続回となった「ご注文はうさぎですか? BLOOM」11話。「お姉ちゃんの役目はわたしに任せなさーい!」とテンションの高い千夜に、ココアは姉として危機感を覚えずにいられない。ココアが自称姉や店員の「本物」なら、千夜はその「偽物」。今回は本物と偽者の激闘の記録である。
ご注文はうさぎですか? BLOOM 第11話「にっこりカフェと七色の魔法使い」
ココアとリゼは用事が重なって、ラビットハウスのバイトをお休み中。千夜とシャロが手伝ってくれることになりました。いつの間にかマヤとメグの制服もできていて、ラビットハウスにカラフルなクリスマスが訪れます。
(公式サイトあらすじより)
1.偽物の攻勢に対抗せよ
臨時で入った「偽物」にも関わらず、千夜とシャロのラビットハウスでの働きぶりは見事なものだ。幼馴染ゆえのコンビネーションで接客は流れるよう、共に頭に兎を載せてチノとお揃い。チノはココアとリゼに「いつもより絶好調だったような」などと冗談を言うほど。ラビットハウスのはずが飾り付けやサービスで甘兎庵とフルール・ド・ラパンに乗っ取られたようになるところも含め、ここでの構図は偽物>本物になっていると言える。
ココアとリゼとしては焦らずにはいられないところだが、2人は2人で焼き栗屋や演劇部の「偽物」になることに手一杯だから本物に戻ってもいられない。そこで彼女達が考えたのは、別の「本物」を差し向けることだった。
2.本物の抵抗、でも……?
千夜もシャロもいない日、1人で頑張ろうとしていたチノの前に現れたのは、ココアとリゼに援軍として差し向けられたマヤとメグだった。彼女達がなぜ「本物」なのか?と言えば、理由は前日の千夜とシャロのやりとりにある。
千夜「♪甘兎フルールラビットハウスの、看板娘隊!」シャロ「わたしたち看板娘隊が一番!」チノ「また新しい部隊が誕生した……」
この"新しい部隊"が何に対してかと言えばもちろん、チマメ隊に対してだ。本作における部隊の本物と言えばチマメ隊であり、だから彼女達なら「偽物」千夜とシャロに対抗することができる。実際、チノは千夜やシャロに助けてもらったのに勝るとも劣らぬ喜びに嬉し泣きまでしてしまった。
しかしこれは、本物>偽物で勝負が終わったということなのだろうか?否。
チノ「おじいちゃん」ティッピー「ん?」チノ「わたし、沢山の人に助けられてます。この気持をいつか返せる人になりたいです」
チノのこの感動は、偽物と本物の両方に助けられたから生まれたものだ。そもそもチマメ隊は本物だが結局は2人も臨時の手伝いだし、マヤとメグの制服の色はチノとココアの制服と被り気味で偽物っぽさがある。
チノを感動させたのは偽物だけでも、本物だけでもない。本物も偽物も、本当は戦ってなどいなかった。むしろ混ざり合って、助け合っていたのだ。
3.戦いではなく、手を取り合っていたから見えた光景
偽物にも本物にも助けられて、ラビットハウスは無事クリスマスパーティの日を迎える。ココアとリゼもいれば千夜とシャロもいるし、マヤとメグもいる。チノの母の作り上げた「本物」は3色しかなかった制服は、今は未完成だった2色どころか新たにもう2色加わりさえしている。ラビレンジャーは「偽物」が加わって5色揃い、更には7色にまでなった。
ティッピー「これはあやつが夢見ていた以上の光景じゃ」
本物だけでは足りなかった。偽物だけでは生まれなかった。本物と偽物はどちらかだけが素晴らしいのではなく、どちらもあったからこそ、この光景は生まれた。本物と偽物の混ざり合いは、時には目覚ましに録音された偽物の声まで混ざった騒がしい朝になったりもするけれど――私たちの想像を超える何かになるのである。
感想
というわけでごちうさ3期の11話レビューでした。すごいぞ、「偽物」を裏テーマ的に見てきたのにその一段上を行かれてしまった。これが連続話だからのジャンプアップなのか単に僕の目が節穴だったのか。ともかくとても素晴らしいものを見せてもらいました。
嬉し泣きも照れの一段上、チノの心がますます救われ僕の心まで浄化されていく。このお話自体がクリスマスプレゼントと言っても過言ではない。何言ってんだお前ってべた褒めしております。以上!