時間と可能性の混ざる場所――「ご注文はうさぎですか? BLOOM」3話レビュー&感想

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
半年後にはチノと同じ高校に通える、とウキウキするココアだが、チノの方はと言えばまだ進路を決められていなかった。そんな折、メグの志望するごきげんよう高校の説明会に誘われ……
 
チマメ隊の進路選択が始まる「ご注文はうさぎですか? BLOOM」3話の舞台は進学候補の1つ、ごきげんよう高校。学校説明会と言うと未来を見に行く機会のイメージがあるが、実際のところそこにあるのはもっと複雑なものだ。
 
 

 ご注文はうさぎですか? BLOOM 第3話「世界のすべては私の経験値」

 

1.学校説明会で見えるのは未来ではない

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メグに誘われ学校説明会に来たチノとマヤだが、そこで聞く話は卒業生の真手凛の高校時代の話、過去の話でありそこから続く青山ブルーマウンテンとの関係の話まで。つまりそこには実際のところ未来はなく、興味を示したチノもその理由は「出会いが大切」というのが自分とココアの関係に当てはまると感じたからだった。
人はどうやっても本当に正確な未来を見ることはできない。ココアはチノが自分と同じ高校に通う未来しか考えていなかったがチノはまだ決めていなかったし、千夜は文化祭の喫茶店の仕切りを任されて初めて甘兎庵の社長という自分の未来に慄く。どんなに確からしくとも、それらは確定した未来ではない。
ならば学校説明会でチノ達が見るのは何か。卒業生の話を聞くだけでは分からなかったそれは、3人が校内で迷ってしまうことで見えてくる。いや、チノ達はそういうワンダーランドにこそ迷い込むのだ。
 
 

2.迷い込んだのは可能性のワンダーランド

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チノとマヤ、メグはそれぞれはぐれてしまってシャロとリゼに会い、不法侵入を隠さねばと勘違いした2人からごきげんよう高校の制服に着替えるよう指示される。そこに生まれるのは学校説明会よりもっと具体的な、この学校に入ったらどうなるかという「可能性」だ。そう、人は正確な未来を見ることはできないが、おおよそこうなるのではないかという可能性なら見ることは許されている。特にマヤにとっては可能性を見ることができたのは大きく、乗り気でなかったはずのこの高校への進学は彼女にとって有力な選択肢となった。
一方で可能性とは、これから実際には起きないことやありえたかもしれないが起きなかった出来事も含むもの。だからリゼが「もしココアや千夜がこの高校にいたら」などと言えば2人は実際に登場もするし、そこには仮にチノ達3人がごきげんよう高校に進学した場合には見ることのできない光景も現れてくる。
 
可能性はあくまで可能性であり、全てが実現することはなくしかし選択肢は提示してくれる。チノは果たして、どんな可能性を未来への選択肢にするのだろうか。
 
 

感想

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というわけでごちうさ3期3話のレビューでした、都合により今回は前倒し。主要5人の中なら千夜ちゃん派ですが、チマメ隊ではマヤちゃん一択なので今回は照れ顔が見られて大変満足な回でした。がさつに見える子の気遣い、ギャップがあって大変よろしい。本当に貴重。
 
1話では「関係の変化はあっても時間が止まったみたいな気分」と書きましたが、「イマワノキワ」のコバヤシさんが指摘したようにこの3期では時間というのは大きなテーマになりそうです。そう、今は2014年でも2015年でもなく2020年なのだ。