掟は友を呼ぶ――「おちこぼれフルーツタルト」5話レビュー&感想

f:id:yhaniwa:20201111020451j:plain

©浜弓場 双・芳文社/おちこぼれフルーツタルト製作委員会
「おちこぼれフルーツタルト」5話アバンはネズミ荘の朝の様子から始まる。掟を巡るやりとりがコミカルだが、アバンというのはその回を象徴するもの。つまりこの5話全体も掟の話として見ることができる。
 

 おちこぼれフルーツタルト 第5話「ほんのりストーカー?」

 
 

1.掟からは本性が見える

f:id:yhaniwa:20201111020511j:plain

©浜弓場 双・芳文社/おちこぼれフルーツタルト製作委員会
ネズミ荘の掟は明示的に共有されたものだが、世の中の掟やルールは見えているものだけとは限らない。例えば朝のトイレは早いもの勝ちとなっているけれど、そのドアが開かない時に衣乃達は故障を疑ったりしない。朝イチでドアが開かなければ穂歩が中で寝ていると決まっていて、つまりそれはネズミ荘の自然法則のようなもの=「掟」なのだ。
世の中に隠れた掟(法則)があるなら、それを見つけることは対象の真理を少しだけ知ることに繋がる。へもがいつも衣乃のご飯を最後に出すと知れば何か仕込んでいるのではと推測できるし、仁奈が小さいものばかり集めていることに着目すれば彼女のロコとの仲の良さも単なる幼馴染に留まらないのも分かってくる。人の本性は掟から推し量れるのである。
 
 

2.掟を共有するものは同類である

f:id:yhaniwa:20201111020522j:plain

©浜弓場 双・芳文社/おちこぼれフルーツタルト製作委員会
先に書いたように、人の本性は掟に現れる。そしてそれは逆に言えば、よく似た本性を持つ者は自然と同じような掟(行動パターン)を持つということでもある。朝のトイレが早いもの勝ちの掟があるのは誰もが起床時にはトイレに行きたいからだし、はゆのサイン案を止めようとするロコはそれが数年後に後悔するものであることを自分の経験で知っている。
こうした掟の類似がもっとも分かるのは利音とへもで、2人は立場こそ全く違うが衣乃の(少々行き過ぎた)熱心なファンである本性はとてもそっくりだ。だから利音が衣乃を追いかければ自然とへもとも会うし、互いの本性を感じればこそ互いを危険ではないかと感じてしまう。類は友を呼ぶと言うが、掟もまた友を呼ぶのだ。
 

f:id:yhaniwa:20201111020614j:plain

©浜弓場 双・芳文社/おちこぼれフルーツタルト製作委員会
とはいえ、ちょっと変わった本性・掟を持つのはけして2人だけではない。そもそも主人公の衣乃からして(少々行き過ぎた)熱心な女の子好きなのだから、そんな彼女の周りに集まる女の子も何かしらに熱心なのは必然なのだろう。
衣乃の上京を契機に、ネズミ荘とその周辺には彼女とどこか掟を等しくする少女達が集まり出している。ロコの妹・チコとへもの趣味とクラスの掟に基づく友人関係は、そうした交わりを更に加速させていくはずだ。
 
 

感想

というわけで、おちフルの5話レビューでした。利音ちゃんも同類だったかー。これ前回のファンレターは2人とも送り主というオチなんだろうか。衣乃の女の子好きに他のキャラも全く負けてないのが恐ろしい。はゆちゃんの八重歯(=無邪気さ)が眩しいと言うか後光が差して見えてきた……