拠点は東小金井、CDデビューライブは大宮、脇道ながらも進み続ける「おちこぼれフルーツタルト」。前回CD発売記念イベント午前の部を見事に成功させた衣乃達だが、10話ではそれぞれに異なるファン層が生まれていることが明かされる。それは桃といちごでは好きな人もまた異なってくるのと同じようなもので、衣乃達が「フルーツ」としての彩りを見せ始めた証拠だ。ただ、フルーツタルトはフルーツだけでは作れない。今回は衣乃達が「タルト生地」を手に入れるお話だ。
おちこぼれフルーツタルト 第10話「ぬめぬめおどれ！」
CD発売記念ライブで午前の部をやりとげたフルーツタルト！午後の部に備えていると、そこに絶望した様子の穂歩がやって来る。事情を聞くとなんと会社から当日中にCDを千枚以上売れとの命令が届いたという。CDを買ってもらうため、ライブの盛り上げ方を思い悩むフルーツタルトだったが、何の答えも出ないまま午後のステージを迎えてしまい……。
（公式サイトあらすじより）
1.オーラだけではまだ足りない
利音が「レジェンド」と評したように、前回の衣乃達のライブは素晴らしいものだった。そのパフォーマンスは見る者にオーラさえ感じさせ、惹きつけずにはおかない。衣乃達が手応えを感じたのももっともな話だが、事務所は彼女達に更に高いハードルを突きつけてくる。「本日中にCDを1,000枚売るように」……午前の物販で500枚のペースでは、到底目標は達成できない。イベントで更にファンを盛り上げなければ1,000枚は売れない。オーラとは別にまだまだ足りないもの、それがチコの言う「ファンの人と一緒に盛り上がる」ことなのだ。
ロコ「楽しい会話って、そんなのよく考えたら分からないじゃん！ 私たち全員友達いないから！」
いざステージに立っても固まってしまうように、衣乃達にとってそれは歌や踊りのパフォーマンスを磨くより難しい。しかしそんな時こそ、ヒントは意外に近くに見つかるものだ。
2.共有がタルト生地をこねる
既に何度も描かれているが衣乃は緊張すると催してしまう体質であり、今回も本編開始は彼女のトイレ場面からだ。本来なら音消しを使い、その音を聞こえさせないのが乙女のエチケット――だが衣乃はうっかり忘れてしまい、しかもそれは穂歩に呼び出されてトイレに来ていたメンバーに筒抜けであった。親しい人間のそういう音は、聞くのも聞かれるのも恥ずかしいもの。つまり恥ずかしさを共有してしまうもので、それは見ようによっては一緒に盛り上がっている のとあまり変わらない。一緒に盛り上がる第一歩は、誰かと何かを共有することなのだ。
そういう共有はけして衣乃の音だけではなく、トイレでいくつも起きている。巨乳ネタは仁菜だけでなく利音にも共有されることで強まるし、チコのファン感情はいつしかロコだけでなくフルーツタルトのメンバー全員にも向けられるように（共有されるものに）なっていた。
だから衣乃達もまた、必ずしも上手いことを言おうなどとかしこまる必要はない。おちこぼれトークも妙ちくりんな歌も、応援してくれる人達と感情を共有できるならそれは立派な「盛り上がり」になる。午後のイベントは午前とはまた違う熱狂を見せ、（小学生に変装した乙の大人買いにも大いに助けられたが）フルーツタルトはどうにかCDを1,000枚売ることに成功した。
ファンとの感情の共有、盛り上がりこそ衣乃達にとってのタルト生地であり、「フルーツタルト」はそれに受け止められて完成するのである。
感想
というわけでおちフルの10話レビューでした。Cパートのお好み焼き対決みたいに共有できてるつもりができてない例なんかも含め、面白い後編だったと思います。○野家で500円って並盛をセットにして終わりだぞ、穂歩さん。音消しとか乙の変装とか毎度際どい部分を攻めるな……
話数は残り2話、どんな締めくくりになるのでしょうね。
穂歩「はゆは女の子とおじさんに人気が高くて」
納得しかないおじさんです。
