すべての道はベルリンに通ず――「ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」11話レビュー&感想

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©2020 島田フミカネKADOKAWA/第501統合戦闘航空団
「すべての道はローマに通ず」という言葉がある。歩む道が違っても目的は同じであったり、異なる分野から同じ真理にたどりつくことを指す名言だ。本作の世界にこの言葉があるのかは分からないが、「ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」11話は、ベルリンというローマ・・・へそれぞれが進むお話である。
 
 

ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN 第11話「ロード・トゥ・ベルリン」 

 
魔法力を使い果たしたため、ベルリン奪還作戦から外れることとなった宮藤。
一方、パットンは自ら指揮する超戦車軍団でベルリンへの進撃を開始し、第501部隊が空から彼等を援護する。
彼等はベルリン手前でネウロイ軍団との激しい総力戦に突入するが、その時、パットンたちの部隊と共に、一人の少女が戦場を駆け巡っていた。
「…怪我人は、どこですか!?」

 (公式サイトあらすじより)

 

1.服部静夏が泣く理由

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©2020 島田フミカネKADOKAWA/第501統合戦闘航空団
静夏は前回、芳佳が魔法力を使い果たしたことをしって気を失うほどのショックを受けた。今回も彼女は罪悪感に打ちひしがれ、涙して芳佳に謝る。作戦には復帰しても気負いが抜けないのは、けして彼女が未熟だからというだけではない。
芳佳はこれまで、501に新しく入った静夏とずっと一緒にいてくれた。ベルリン奪還を掲げた戦いの日々は、全て芳佳と共にあったと言っていい。半人前の静夏はずっと、芳佳と同じ道を歩んできたのだ。だがその集大成となる今回の作戦に、芳佳は静夏と共にいられない。同じ道を歩めない。
「同じ道を歩めない」ことは、共にある日々が心地よければ良いほど大きな苦悩になる。かつて坂本が、そしてミーナが1人になることを恐れたり道を誤りかけたように、それは本当に苦しいものだ。
一緒に同じ道を歩めたはずなのに、自分の未熟さでそれをできなくしてしまった。芳佳に皆と違う道を歩ませてしまった――静夏にとって今回の失敗はそういうものであり、だからその取り返しのつかなさに彼女は涙するしかない。道は、分かれてしまったのだ。
 
 

2.道が分かれたくらいで目的地は変わらない

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©2020 島田フミカネKADOKAWA/第501統合戦闘航空団
分かれてしまえば同じ道を歩むことはできない。だから芳佳は作戦に参加はできない。しかしそもそも、同じ道を歩んでいれば必ず手を取り合えるわけでもない。芳佳はミーナに連れられ訪れたアムステルダムで、総司令部の会議の醜い小競り合いを見せつけられる。統合軍とはネウロイを撃破すべく異なる国が「同じ道を歩む」組織にも関わらず、手を取り合えてはいないのだ。
そしてそれは裏返せば、異なる道を歩む者とも目的地が同じなら手を取り合えることも意味する。これまでは無謀な指揮官として空回りする傾向にあったパットン将軍も総司令部からすれば組織の歯車に過ぎないし、負傷を厭わず戦場に臨む彼の姿勢は芳佳達となんら変わるものではなかった。
だから芳佳もまた、航空歩兵ではなく衛生兵として戦いに参加しようとする。変わることで変わるまいとする。彼女が医術を志していたのは、魔力が尽きても人々を救えるようになるためだった。芳佳が学んでいたのはそもそもが「同じ目的地へたどりつくための別の道」だったのだ。
 

3.それは全てが集う場所

海ではなく陸を走る陸上巡洋艦・ラーテを旗頭にした戦車部隊や501以外のウィッチなど、様々な部隊がそれぞれの道のりを進んで戦った果て、ラーテとその中にいるパットン将軍達はネウロイの作ったドームに閉じ込められる。しかしそこに芳佳もいると知った501の面々が浮かべたのは、絶望の表情ではなかった。
 
 

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©2020 島田フミカネKADOKAWA/第501統合戦闘航空団
リーネ「魔法力が無くて、作戦に参加できないなら……」
サーニャ「ひょっとして、衛生兵として」
エーリカ「うん、宮藤ならやるだろうね。ね、トゥルーデ?」
バルクホルン「ああ、間違いない。『宮藤』だ!」

 

 
彼女達は嬉しいのだ。道が分かれても、芳佳が芳佳らしく同じ目的地へ向かってくれていたことが。闘志を取り戻さずにはいられないのだ、目的地に向かう新たな理由が増えたことに。
前回の戦いで、501は芳佳の魔法力という作戦のコアを破壊されてしまった。しかし宮藤芳佳のコアは魔法力ではなかったはずだ。どんな時も誰かを守るために全力を尽くすその姿勢こそ彼女が主人公――物語のコアたる所以であり、それはこの苦境の中でも何ら損なわれることなく輝いている。なら、501はそれを救いにいかなければならない。
 
この3期におけるベルリンとは、単なる地名でも戦略目標でもない。取り戻すべき故郷、共に戦う理由、守るべき仲間、失いたくない繋がり、エトセトラエトセトラ……道のり異なるそれら全てがベルリンにあることを示す話であるからこそ、この11話の副題は「ロード・トゥ・ベルリン」なのである。
 
 

感想

というわけでストパン3期11話のレビューでした。芳佳がゲート内にいることに皆が呆れたり困惑するのでもなく、納得してるのがいいですね。すごく芳佳らしいことだと皆が感じていて、それを喜んでいるところに積み重ねた信頼を感じます。次回活用されるのも地下「道」だそうですし、最終決戦に相応しい盛り上がりで次回が待ち遠しいです。
 

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©2020 島田フミカネKADOKAWA/第501統合戦闘航空団
ひかりちゃんまさかの再登場、ラル隊長まで! 戦闘シーンは無いだろうけど、502も別の道から頑張っているのだなあ。