無法と天道――「ブルーアーカイブ The Animation」4話レビュー&感想

(C)NEXON Games / アビドス商店街

自由なる「ブルーアーカイブ The Animation」。4話ではブラックマーケットでシロコ達が大暴れ。今回は真のアウトローとは何かを問うお話だ。

 

 

ブルーアーカイブ The Animation 第4話「覆面水着団☆」

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1.無法地帯は別法地帯

アビドス高校襲撃に失敗した便利屋68は引き続き依頼の遂行を求められるが、資金不足で首が回らない状態となっていた。一方、シロコ達はカタカタヘルメット団が違法な物品を入手したブラックマーケットへ向かうが……?

 

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ノノミ「それじゃ、銀行が犯罪を助長しているようなものじゃないですか」
ヒフミ「その通りです。ここでは銀行も犯罪組織なんです」

 

雁字搦めの「ブルーアーカイブ The Animation」。4話は前回存在が明かされたブラックマーケットを舞台とした回だ。取引の禁止された物品が流通し、認可されていない部活動なども存在する無法地帯……だが、なんでもありの場所かと言えばそれも正確ではない。独自の金融機関や治安組織が活動するここはルールの存在するれっきとした「社会」であり、いわば一般社会とは運用されている法律が違うだけに過ぎないからだ。集団で生活する以上は決まり事からは逃れられないのが人間というものなのだろう。

 

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アル「ちょ、ちょっと! ちゃんと事務所も構えてるのにどうしてよ!?」
銀行員「事務所は賃貸、資産と呼べるものは銃火器類のみ。これでは融資のしようがありません」

 

無法地帯とは一種の別法地帯に過ぎない。この問題に今回もっとも苦しんでいるのは「便利屋68」を率いる陸八魔アルだ。依頼主は資金を使い切ってしまった彼女達の事情もお構いなしにアビドス高校の再襲撃を指示してくるし、普通の銀行は無理だからと闇銀行に駆け込んでもそこですら融資の審査に落ちてしまう。いっそ闇銀行で大暴れして強盗を、と考えもするがブラックマーケットを敵に回す勇気は彼女には持てない。無法地帯の法に雁字搦めにされている現状は、「何事にも恐れず何事にも縛られないハードボイルドなアウトロー」を望んで裏社会に飛び込んだアルにとってあまりに不本意なものであった。

 

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アル(何事にも恐れず何事にも縛られないハードボイルドなアウトローに、そうなりたかったのに……)

 

法を破る者もまた法に縛られる世界で、「何事にも恐れず何事にも縛られないハードボイルドなアウトロー」なんて、ひらたくいえば自由な人間など存在できるのか? 壁にぶつかったアルはしかし、直後に自分の範たる存在と出会うこととなる。

 

2.無法と天道

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アル(や、ヤバーイ! この人達なんなの? ブラックマーケットの銀行を襲うなんて! 滅茶苦茶手際いいし超プロフェッショナル……か、かっこいい……痺れる! これぞ正に真のアウトロー! うわあ涙出そう……)

 

無法者の法的な壁にぶつかったアルが見たロールモデル。それは突如として闇銀行に現れた強盗の一団であった。なんとこの強盗は銀行を守る屈強なガードマーケットを一瞬で制圧、一般人にも被害を与えない手際の良さであっという間に襲撃を済ませてしまったのだ。覆面で顔を隠していた彼女達が何者か分からないままアルは惚れ惚れしてしまったが、その正体はなんと前回戦ったアビドス高校の面々であった。

 

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ノノミ「それでは! 覆面水着団☆出発です!」

 

今更説明するまでもないが、アビドス高校の面々は主人公サイドに該当する、言ってみれば「正しさ」を求められる存在である。もちろん本作は悪漢もののジャンルに分類される作品ではないし、前回も学校の借金を返すためとはいえ生徒の一人シロコが銀行強盗を主張した時は後輩のアヤネに真っ向から否定されている。にも関わらず今回実行してしまうのは物語としてはあまりにも自由だ。おまけに彼女達はブラックマーケットで偶然助けたトリニティ総合学園の生徒・阿慈谷ヒフミの能力の高さを見込んで強引に仲間に加えてしまっており、もはやなんでもありとすら思える。……だが、彼女達がここまで自由なのには理由があった。

 

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ホシノ「私達に必要なのは書類だけ。お金じゃない」

 

銀行を襲い封鎖地点も突破したシロコ達が確認した、銀行から奪ったカバンの中身。そこにはなんと軽く1億はあろうかという大金が詰め込まれていた。これだけあれば学校の借金をかなり減らせる、悪用されるはずだった悪党の金を盗んで何が悪いのか――生徒の内セリカやノノミはそうも考えるが、シロコや最年長のホシノはこれに賛同しなかった。そもそもで言えばこの銀行強盗は、自分達が悪徳金融業者に返済したお金が闇銀行に流れているか確認するため集金記録を入手するのが目的の行為に過ぎなかった。お金目当てではなかったのだ。ホシノは言う。悪人の金だから、とこのお金を使ってしまうと、きっと今後似たようなことが起きた時同じ方法に頼ってしまう。「仕方ないよね」と正当化してやってはいけないことをやってしまう。そんな後輩を見るのは嫌だ……と。

 

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アル「私も頑張るわ。法律や規律に縛られない、本当の意味での自由な魂! そんなアウトローになりたいから!」
セリカ「いったいなんの話?」
ホシノ「さあ?」

 

ホシノの言動から見えるのは、アビドス高校が表面的にも裏面的にも法律に縛られていないことだ。法律を表面的に重んじるなら受領証明書だけが目的だろうと銀行強盗などは行わないし、裏面的に重んじるなら法的に文句を言われないだろう悪党の金を使うことをためらっていないだろう。彼女が従っているのは、法で拾いきれない正しさを拾い法がこぼす悪を懐に収めない自然の道理――いわば天道である。誰に命令されるでもないそれに従う生き方は一面不自由だが、法に縛られないその生き方は見ようによっては極めて自由だ。そう、映画に出てくるような、アルが憧れるようなアウトローの格好良さとは、不完全な法よりも天道に従う者が見せる格好良さではなかったか。
別法の世界で生きるものをアウトローとは言わない。法ではなく天道を歩む時、人は真のアウトローに生まれ変わるのだ。

 

感想

以上、ブルアカのアニメ4話レビューでした。コミカルだけどとても難しいラインを突いてる話だなと思います。お金もブラックマーケットで一番まっとうな使い方(?)をされるところに落ち着いたと言えるのじゃないかしらん。棚ぼただからアルも銀行強盗に走ったりはしないだろうし。さてさて次回はどうなる。

 

 

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