綺羅星の海へいよいよ飛び込む「IDOLY PRIDE(アイドリープライド)」。人は、嬉しいことでも距離感がボンヤリしていると喜びを実感できない。6話はデビューライブを通して、琴乃達が新たな距離感を探るお話だ。
IDOLY PRIDE 第6話「かけがえのないステージを」
(公式サイトあらすじより)
1.新たな関係は新たな距離
念願のデビューライブの決まった琴乃達だが、牧野からそれを告げられた時の反応は意外にも鈍い。嬉しくないからではなく、それにどう向き合えばいいか定まっていないからだ。琴乃がまず「いつですか」と日にちを問うのは、時間だけでなく心構えの意味でもどれほどの"距離"があるかを測るためだろう。
新しい何かと関係を築くことは、それとの新しい距離を探ることに等しい。デビューライブが決まったことで、琴乃達の生活は今までとは違うものになっていく。麻奈やLizNoirも通う(通っていた)スタジオでのレッスン、雑誌からのインタビュー、告知のためのラジオ出演……どれもが彼女達には初めてのことばかりだ。新たな日々は単に予定が詰まっていると言うだけでなく、それら1つ1つと距離を測る必要があるからこそ今までと比べ物にならないくらい忙しい。だがそれは、これまでのことが意味を持たないという意味ではない。
2.過去から未来を知る、未来から過去を知り直す
人は未知のものに対しても、過去を参考に対応することができる。例えば遙子や怜は以前の活動経験からインタビューにもテキパキと受け答えできるし、沙季は緊張するからこそいつも通り(過去の通り)にすることでそれに対処している。人は既知のものを参考に、新しいものとの距離を測ることができる。
そしてそれとは逆に、人は既知のものに新しい何かを見出すこともできる。例えば厳しいレッスンを「楽しい」という琴乃に皆が驚くのは、それなりに知っている彼女にそういう気持ちを新しく見たからだ。前回は怜の厳しさに音を上げていた千紗と雫も今はもう自分から練習をねだるほどで、その関係は既に私達が知っているものと同じではない。
既知は未知に距離を教え、未知は既知の距離を測り直させる。人の営みはきっと、その繰り返しでできている。2つのグループでデビューしたことで、琴乃とさくらは仲間であるだけでなくライバルという関係の具現を得た。麻奈を失った牧野はしかし、新たなアイドルを育てることに麻奈との日々で得たのと同じものを見ている。
既知と未知はけして一つにならず、過去と未来は常に対極にある。しかしそれゆえに、太陽と月のように互いの物語を輝かせることだろう。
感想
というわけでアイプラの6話レビューでした。なんというかこう、10人の関係が素敵になっていくなあ。引用の範囲として琴乃とさくらのセットの場面ばかりキャプチャーしていますが、千紗と雫の成長とかすずの微笑ましさとか怜の照れ具合とか芽衣の笑顔とか色々かわいい場面が盛りだくさん。
また、琴乃達が1話の麻奈の強烈な存在感に負けなくなっていくことはつまり、彼女達がアイドルとして麻奈に負けなくなっていくことでもあるのだと感じた回でもありました。VENUSプログラムのある本作の世界で2つのグループに分かれることは、琴乃達とさくら達がライバルになることだとはっきり示されたのも物語の転換点として大きな意味があったのではないかと思います。これからの物語がどんな風に加速していくのか、楽しみ。