女子会とはなんぞや――「幻日のヨハネ」7話レビュー&感想

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オリジナルを探す「幻日のヨハネ」。7話ではヨハネが奔走する。彼女に課せられたのは女子会という謎解きである。

 

 

幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR- 第7話「女子会ってなぁに?」

 

 

1.女子会とはなんぞや

互いを知るため9人で女子会を開くことになったヨハネ達。幹事を任されたヨハネは気合を入れてその準備をするが、無理を重ねて空回りしてしまい……?

 

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ルビィ「なんかちょっと違う気がするけど……」

 

7話は主人公のヨハネが幹事となって女子会をする話である。「女子会」……ワードチョイスに古さが否めない印象はあるが、注目したいのはこう呼ぶことで集まりがヨハネ達に縁遠いものとなっている点だ。提案された際一緒にいたマリやリコは伝聞で誇張された形でしか知らないし、ヨハネにしても参加するのは初めて。「女子会ってなぁに?」の副題は大げさではなく、ヨハネにとって幹事を任されたことは「女子会とはなんぞや?」とクイズを出されたのに等しい。

 

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今回のヨハネはよく頑張っている。皆のやりたいことを聞いてしおりを作り、てんでバラバラなそれらを叶えるために道具も揃え……その根の詰め方は、ヨハネの尻を叩いてきた相棒の狼獣ライラプスが無理をしないよう助言するほど。それだけ嬉しかったし、楽しみでもあったのだろう。

 

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ただ、謎解きができていない以上は努力が実を結ぶとは限らない。迎えた当日、集まった9人は個性的であるが故にまとまらずヨハネの立てた計画は崩れてしまう。おまけに自分が歌を歌うステージが夏祭りの会場に決まったと聞かされたり、小さな妖精のはずのルビィが自分達と同じくらいの背丈で現れたことで疲労と困惑は限界を突破。ヨハネはとうとう気を失ってしまうのだった。

 

 

2.ありのままの魔法

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ハナマル「このしおり、皆のやりたいことは書いてあったんだけど肝心のヨハネちゃんのやりたいことが書いてなかったずら……」

 

女子会とは何か分からぬまま無理を重ね、倒れてしまったヨハネ。意識を取り戻した彼女は皆から謝罪されると同時に、一つの指摘を受ける。女子会のしおりには皆のやりたいことは書いてあるが、肝心のヨハネのやりたいことが書いていない……と。ヨハネは自分は構わない、皆が楽しんでくれればと言うが、それを聞いたハナマル達は寂しげだ。
ヨハネが書かなかったのはもちろん、女子会でやりたいことの話である。だが彼女が都会に行っても見つけらなかったのもまた「やりたいこと」ではなかったか。すなわち、彼女だけがしおりに希望を書けないのはそれが現状の引き写しだからに他ならない。ヨハネがまずするべきは、そんな己に向き合うことであろう。

 

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ヨハネ「最初は皆と話して、思い出作りたかっただけなのに……」
ライラプス「あるじゃん、やりたいこと」

 

心配してこっそりついてきていたライラプスに自分が無理をしていたことを認め、ヨハネは初心を振り返る。皆に認めてもらいたくて張っていた見栄が剥がれて出てきたのは、幹事を頼まれて最初に思ったこと。「皆と話して思い出を作りたかった」……そう、これはれっきとした「やりたいこと」だ。しおりに書けなかったはずのそれは、本当は原点にーーありのままの自分の中にあった。その後の時間が挿入歌「GIRLS!!」が象徴するように楽しい女子会以外の何物でもなかったことからも明らかなように、着飾ったり(byマリ)本性をあらわにしたり(byリコ)するのではなくありのままの自分を受け入れることこそ女子会の鍵だったのだ。

 

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振り返ってみれば、この集まりは9人の素をさらけ出すものだった。服装は私服、ルビィが妖精ではない姿を見せたり、普段は完璧に執務をこなすダイヤがプライベートでは意外とズレた一面を持っていることを明らかになったり……親睦を深める目的から考えても、その一番の方法はありのままの自分や相手を知り合うことであろう。もちろんヨハネにとっても、都会での挫折を打ち明けそれを受け入れてくれたこの仲間達がかけがえのない存在になったのは言うまでもない。だから彼女はその先に新しい「やりたいこと」を見つけられる。夏祭りのステージでは、自分だけでなくこの9人で歌いたいとヨハネは願う。思い出の切り株は黒い霧に覆われてしまったけれど、皆とならあの頃の自分に、ありのままの自分に戻れる。この集まりが切り株と同じ場所になってくれる。

 

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「女子会ってこんな感じでいいの?」と不思議がるヨハネに、ハナマルはこう返す。「これが私達にとっての女子会ずら!」……そう、他の人の場合はいざ知らず、これこそは課せられた謎解きへのヨハネ達の答えだ。簡単なようで難しい、ありのままの自分でいられる魔法のような場所がヨハネ達にとっての女子会なのである。

 

 

感想

というわけで幻ヨハの7話レビューでした。要素の繋がりが非常にクリアな回だったなと思います。いつも使っている場所の概念「女子会」によって視覚化され、そこから魔法も見えてくる。ヨハネが見つけられなかった「やりたいこと」の縮小版として今回の集まりが機能するのも気がつくと非常に面白い。話数としては後半に入り、ここからどんな話になっていくのか。9人の関わりはこれからますます楽しめそうです。

 

 

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