ツンデレとは借金と見つけたり――「ブルーアーカイブ The Animation」2話レビュー&感想

(C)NEXON Games / アビドス商店街

信頼を築く「ブルーアーカイブ The Animation」。2話は1年生のセリカが中心となる。ツンデレ」な彼女の気質は、借金に似ている。

 

 

ブルーアーカイブ The Animation 第2話「私は認めない!」

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1.セリカが認めない理由

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シャーレからやってきた先生を迎えて以来、シロコ達アビドス廃校対策委員会は着実にカタカタヘルメット団の跋扈を抑制しつつあった。皆が先生を慕う中でしかし、一人セリカは彼を認めようとせず……?

 

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セリカ(皆のバカ! 先生、先生って!)

 

生徒と先生の「ブルーアーカイブ The Animation」。あわや廃校という危機的状況にあったシロコ達アビドス高校の面々だが、シャーレから先生を迎えてからは好調だ。2話開始時点で乱暴者のカタカタヘルメット団のアジトをいくつも潰すことに成功し、生徒からの先生の評価もうなぎのぼり……ただ一人、頑なに彼を認めない1年生のセリカを除いて。

 

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セリカ「これまで学校の問題は私達だけでなんとかしてきたじゃない! なのに突然やってきた大人に従うなんて!」

 

セリカが先生を受入れようとしない理由は、一見すると不明瞭で不合理である。一昔前の漫画のように誤解を生じる出会いがあったわけではないし、先生の指揮に不満を覚えているわけでもない。先生個人が責められる謂れはおよそ見えず、セリカの拒絶はほとんど理不尽にすら思える。……いや、実際理不尽なのだろう。彼女が先生を認めようとしないのはおそらく、相手が先生だからではない。

 

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ホシノ「セリカちゃん、ヤッホー」
ノノミ「制服とってもかわいいです!」
セリカ「な、なな……!」

 

いったい、セリカが人を拒絶しがちなのは先生相手に限った話ではない。彼女はラーメン屋でアルバイトしていることもシロコ達に秘密にしており、バイト姿を見られた際は恥ずかしがることしきりであった。先生相手に限らず、自分のそのままを見せることに――「弱み」を見せることに消極的なのがセリカという少女なのである。

 

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セリカ「先生……か。私も素直に頼ればいいのかな」

 

弱みを見せることは、時に思わぬ形で人の足元をすくう。砂嵐に襲われた町の復旧のため悪徳金融業者に頼らざるを得なかったアビドスが雪だるま式に増えた借金に苦しんでいる現状などはその最たる例だろう。故にセリカは、仲間まして先生に心理的な借金・・・・・・を負うまいとする。先生個人が信用できないのではなく、人に弱みを見せること自体が彼女にとってハードルの高い行為なのだ。……だが、それで本当に借金を作らずにいられるのだろうか?

 

2.ツンデレとは借金と見つけたり

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セリカ(どうしよう、みんな心配してるだろうな……このまま私、どこかに埋められちゃうのかな。皆に、会いたい……!)

 

アルバイトの帰り、セリカはカタカタヘルメット団に突然の襲撃を受け誘拐されてしまう。両腕を後ろ手に縛られなすすべもなく、彼女はもう自分は終わりなのではないかと考えずにはいられなかった。皆に会いたいと涙を浮かべるその姿にいつもの強がりはなく――そしてその時、救いの手は差し伸べられた。先生がその権限でネットワーク情報からセリカの位置を特定し、仲間達が総出で迎えに来てくれたのだ。

 

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ノノミ「泣かないでセリカちゃん、私達がその涙を拭いてあげます」
セリカ「泣いてなんかないったら!」

 

セリカは他人に借りを作ることを恐れていた。借金をして、それが膨れ上がることを恐れていた。けれどこの現状はどうだろう? 捕まった自分を皆が助けに来てくれたこの状況は借りそのものだ。それも「ツンケンして皆を寄せ付けなかったのに」というオマケの分だけ借金は大きい。借りを作らないセリカの姿勢は、結果的にはむしろより大きな借りを作る結果に繋がっていた。

 

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ホシノ「それはツンデレ娘のセリカちゃんじゃなくても怒るって」

 

仲間の一人ホシノは、セリカを「ツンデレ」だという。好意や好感を隠すこの態度はしかし、それらをゼロにすることはできない。むしろ好意や好感を後回しに……いやツケにしていると言った方が正確だろう。そう、ツンデレはツケを払わねばならない。それも利子のついた分だけ強烈なデレでなければ、一時の態度で膨れ上がったツンは返済できない。大げさな言い方をするなら、セリカツンデレとはアビドスの借金の象徴だったのだ。

 

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セリカ「別に助けがなくたって自力で脱出できたし、ヘルメット団だって私だけで……でも、その……た、助けてくれてありがとう! 先生!」

 

アビドスは借金に苦しんでいる。セリカはこれ以上「借金」を重ねたくないばかりにかえって利子を膨らませている。なら、セリカが少しでもデレたことが借金返済の第一歩に繋がるのにも何の不思議なことがあるだろうか。彼女が先生を認めたなら、素直に先生に頼るなら、きっとシロコ達は今以上に力を発揮することができる。実際今回だって、銃弾の効かないカタカタヘルメット団の戦車をセリカ達の連携は見事撃破してみせたのだ。

 

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ホシノ「おーうセリカちゃんがデレた……」
セリカ「ちがっ……違うってば!」
ホシノ「ホントにぃ?」
セリカ「そういうんじゃない!」

 

私達の世界と本作の世界の学校や先生がそうであるように、似ても似つかぬように思えるものは意外な共通点に満ちている。この2話の場合、それはツンデレと借金の意外な共通点であった。
ツンデレとは借金と見つけたり。ツンと借金は積めば積むほどデレと利子が膨れ上がるものなのである。

 

感想

以上、ブルアカのアニメ2話レビューでした。筋立てそのものはシンプルな分何が言えるのか困惑したのですが、セリカが先生を認めない理由が今ひとつあいまいなのが逆にヒントと気づけてからはすんなり筆が進みました。なんとなく本作を読む上でのパターンが見えてきた気もしますが、他の回に応用するのはまだまだ難しそう……次回も注目して見てみたいです。

 

 

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