百聞は一見にしかず――「魔女の旅々」7話レビュー&感想

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© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会
仲が悪く壁で左右に別れた国と、共にぶどう酒を名産とする仲の悪い村の2つを舞台に前後編で描かれる「魔女の旅々」7話。仲の悪さという以外はほとんど関係ないようにも見える2つの話はしかし、やはり30分の1つの話だ。重要なのは、壁にしろぶどう酒にしろイレイナが実地に確かめようとしていることにある。
 
 

妹の背中――「ラブライブ!サンシャイン!!」2期9話レビュー&感想

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
函館を舞台にルビィと理亞の交流を描く「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」2期9話、開演直前、手を繋いだルビィに理亞は「あなたがいたから、ここまで来れた」と感謝を伝える。そう、一緒にいたから来られたのがここまでで、そこから先に進むためにこそこの話はある。
 
 
 

心のズボンを脱ぎ捨てろ――「ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」6話レビュー&感想

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©2020 島田フミカネKADOKAWA/第501統合戦闘航空団
ベルリン奪還を大目標にキャラクター別の物語を描いていく「ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」。6話でハルトマンは寝坊どころかズボンすら紛失して寝ており、最終的にそれは転んだバルクホルンの顔面に乗って見つかる。なんともコミカルな始まりだが、これはある種のメッセージだ。「ズボンすら脱ぎ捨てるくらい軽くなる必要がある」という、物語からバルクホルンへのメッセージ・バトンなのである。
 
 

掟は友を呼ぶ――「おちこぼれフルーツタルト」5話レビュー&感想

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©浜弓場 双・芳文社/おちこぼれフルーツタルト製作委員会
「おちこぼれフルーツタルト」5話アバンはネズミ荘の朝の様子から始まる。掟を巡るやりとりがコミカルだが、アバンというのはその回を象徴するもの。つまりこの5話全体も掟の話として見ることができる。
 

ご注文は義兄弟の盃ですか?――「ご注文はうさぎですか? BLOOM」5話レビュー&感想

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©Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?
前回チノがココアと同じ高校を目指すと決めたことから、「ご注文はうさぎですか? BLOOM」5話はココア達がチノと同じ校舎での再会を期する乾杯をする場面から始まる。ココアいわく「義兄弟の盃」とコミカルな言い回しだが、この言葉こそ5話を読み解く上で重要な意味を持つ。今回はたくさんの義兄弟が登場する話なのだ。
 
 

わたしを表現する方法――「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」6話レビュー&感想

同好会の1人1人にスポットを当てて行く「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」、6話の主役は天王寺璃奈。表情の変化に乏しい彼女はPVも自分の描いたキャラを前面に出したもので、いわくそれはキャラに頼ってしまっていて「ほんとの私じゃない」。
自分の本質に悩むのは愛を始め他のメンバーでも描かれてきたことで、この6話もまた璃奈だけのしかし普遍の壁にぶつかるお話だ。
 
 

菜穂子は亀になった――「風立ちぬ」レビュー&感想

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(C) 2013 二馬力・GNDHDDTK
2013年に公開され、主役の声を庵野秀明が演じることなどでも話題を読んだスタジオジブリの「風立ちぬ」。舞台となる大正から昭和初期の日本の工業技術力は西欧列強から特に大きく遅れており、人々は追いつくことに必死だった。ドイツ視察中、主人公の友人・本庄が自分達を「二十年先の亀を追いかけるアキレス」に例え、二郎が小さくとも亀になる方法はないかと考える場面などは象徴的だ。しかし本作のアキレスは、亀になろうとした者は果たして日本という国だけなのだろうか。