不可分を繋ぐ虹の橋――「ラブライブ!サンシャイン!!」2期3話レビュー&感想

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
学校説明会とラブライブ予備予選が同日になってしまい、千歌達が選択を迫られる「ラブライブ!サンシャイン!!」2期3話。選び難い二択というのはよく見られるシチュエーションだが、果たして千歌達が迫られているのは「選択」なのだろうか?
 
 

 ラブライブ!サンシャイン!! 2期 03話「虹」

 
 

「選ぶ」と「分ける」

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
ラブライブと学校存続はもともと別のものだから、両立はそもそも難しいものだ。1期でも予備予選突破にも関わらず学校説明会の参加希望者は0のままだったし、突破目前だった地区予選の結果をもってしても統廃合の結果は覆せていない。2つはなかなかシンクロしなくて、仮にどちらか片方の活動だけに集中していたら、現在はまた違っていたのかもしれない。
 
しかし今回どちらかをと言われて手を挙げられる者は1人もいない。そしてもし彼女達がどちらか片方だけを選ぶ姿を見たなら、私達はきっと――身勝手だが――「そんな彼女達は見たくなかった」と思うだろう。学校のためにラブライブ出場の夢を犠牲にしても、ラブライブ出場のために学校存続を切り捨てても、そこに私達はもうこれまでの魅力を感じないはずだ。無理で無茶で無謀に思えても、そのどちらも諦めずにあがくからこそ彼女達は燦然としたアイドルたり得ている。片方は掴む、片方は掴まないと「分けて」しまったら、その時点でどちらの輝きも消え失せてしまう。
千歌達が迫られているのが「選択」ではなく「分割」なのだと捉えるなら、妥協案のチーム分割もこれまた受け入れられないのも当然のことだろう。ヨハネ「それでAqoursと言えるの?」と指摘するように、ここでいう分割とは一個の生命を「引き裂く」に等しい。そんなことをしても得られるのは死骸だけだ。
 
 

「虹がかかる」とは

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©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!
だから千歌達は最終的にチームも、予備予選と学校説明会も「分けない」ことを選ぶ。「1つである」ことを選ぶ。それはAqoursのものと学校説明会のものがまるで一個の生命のように繋がっていた1期ラストの「0から1」をより自覚的に進めること。
千歌達が見た虹とは、ラブライブと学校存続の間にかかった橋。自分達9人の間にかかった橋。遠く見える奇跡と自分達の間にかかった橋。
「雨」上がりにしか見えないそれは、全く繋がっていないようで本当は不可分なものの間にかかる橋なのである。
 
 

感想

というわけでサンシャイン2期3話のレビューでした。二択を迫られて両方選ぶのは「マンガ・アニメだから許される欲張りな選択肢」みたいに見られる向きもありますが、むしろ片方だけ選んでしまった時点で終わってしまうものがあるのだと認識させられる内容だったのだと思います。現実でも、本当はもっとたくさん選択肢があるのに二択だと思わされたり思い込んだりすることは珍しくないのですし。
あとさりげに「善子は不運キャラと不可分」で虹の橋がかかってるのが酷い&愛おしい。
 
さて、次回はダイヤが中心のお話なのかな。なんだかんだで普段は皆を支える役回りが多い彼女がどんな表情を見せてくれるのか、楽しみです。