敵の攻撃によってその身を砕かれた龍神丸を救うため、ワタル達が旅する様子を描いてきた「魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸」。かけらが揃い復活したものの、9話では龍神丸の魂が闇に落ちていたという驚きの事実が明かされる。体が復活しても魂が戻っていないのなら、そこにはまだ足りないものがあるのだ。
1.クラマが体現する最後のかけら
龍神丸を復活させるためワタルは逆さ創界山を旅しかけらを集めてきたが、それは同時に救世主の心を取り戻す旅でもあった。それは例えば困難に立ち向かう心であったり、友を思う気持ちであったり……それらが大切なのはもちろんだが、それだけでは龍神丸の魂まで復活させることはできていなかった。この9話ではワタルは「7つ目のかけら」を探す必要に迫られたと言える。ならばその7つ目のかけらは何か、と言えばヒントはクラマが握っている。
「覚えとけ! いい男は最後に出てくるってもんよ」
これまで出番がなかったものの、最後に姿を表し美味しいところを持っていくクラマの姿は颯爽としている。「カッコいい」と言っていいだろう。対して魂が闇に落ちた龍神丸は、きっかけがワタルに苦労をかけたことの不甲斐なさとは言えそのありようはけして格好良くはない。そう、足りなかった7つ目のかけらとは「カッコよさ」だ。
だからそれが満ちて復活した龍神丸はカッコよく、復活し变化した煌龍丸は圧倒的に強い。ドバズダーを倒した感慨すら忘れて虎王が見とれてしまうほどに。
「いつだってぼくたちの冒険は、おもしろカッコいいんだ!」
救世主とは「おもしろカッコいい」もの。それこそは優れた心構えとは別に救世主が持つ、最後のひとかけらなのである。
感想
というわけでワタル七魂の最終回9話レビューでした。お情けの出番のようで本当に美味しいところを持っていくからクラマはズルい!
龍神丸が想定しなかった最後のかけらがかっこよさというのは、ホビーアニメとしてある意味とてもはっちゃけた結論だったと思います。今この形でワタルをやることに疑問を感じる声も当然あるとは思いますが、目的に対してまっすぐな作品ではあったのではないかな、と。
スタッフの皆様、お疲れさまでした。