繋がりはパンドラの箱――「ゲッターロボ アーク」7話レビュー&感想

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
進化を続ける「ゲッターロボ アーク」。7話では恐竜帝国との共闘という驚愕の戦略が明かされる。敵対した相手とも繋がれるのは関係の進化であり、前進であろう。しかしそれは良いことだけを生むものなのだろうか?
 
 

ゲッターロボ アーク 第7話「ゲッター同盟軍」

拓馬、カムイ、獏が着いたのは恐竜帝国だった。かつて敵対した地上の人類とハチュウ人類はアンドロメダ流国の脅威の前に手を結んでいた。恐竜帝国のハン博士の協力により〝ジュラ・デッド作戦〟の準備が進められる中、アークを欠き、苦戦を強いられる地上の連合軍。だが、その穴を埋めるかのように正体不明の〝黒い真ゲッター〟が戦場に現れ連合軍を掩護する。恐竜帝国に着いて以来、無理してゴールⅢ世にかしずいているように見えるカムイ。拓馬はその真意をおもんばかる。
公式サイトあらすじより)
 

1.高揚感なき繋がり

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
ゴール三世「敵対した過去は捨て、力を合わせ新たなる敵に立ち向かう……」
 
劇中でも語られるが、ハチュウ人類率いる恐竜帝国は初代「ゲッターロボ」で流竜馬達が戦った宿敵だ。かつての敵と旧怨を忘れて手を取り合う、繋がる……普通なら盛り上がる展開だが、本作のそれに高揚感は無い。拓馬にあるのは突然知らされた驚きや、過剰なほどゴール三世ににうやうやしく接するカムイへの違和感、そして一時的とは言え恐竜帝国の傘下に入ることへの苛立ちなどだ。そこにはどれも、喜ばしい感情は含まれていない。
 

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
翔「號……!」
 
こうした繋がりから生まれるものの不確実さが描かれているのは、19年前の回想でも変わらない。シベリア戦線では世界各国の軍隊が参加した、つまり繋がったが、それは統率を乱すことにもなりロシア軍の勝手な核ミサイル発射を引き起こした*1。繋がったからこそ、最悪の事態への危機も生まれてしまった。また、それを止めた真ゲッターは触れた相手を融合吸収――繋がることで純粋なエネルギー体となったが、真ゲッターと號が一つになったその姿は美しいとか神々しいと言うよりも何か恐ろしいものだった。
 

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
カムイ「神司令との通信用だ。恐竜帝国の者達が一緒では話せないこともある」
 
このように7話ではいくつもの繋がりが描かれるが、そこにあるのは多くが素晴らしさより「得体の知れなさ」だ*2。恐竜帝国との同盟にしても現状はどちらかが裏切りを画策しているなどということはないが、胸襟きょうきんを開いて語り合うような信頼もまた存在してはいない。隼人は恐竜帝国抜きでの秘密の通信を行うし、ゴール三世もカムイに何か表に出せないことを吹き込んでいる。
 
繋がりから生まれるのは素晴らしいものばかりとは限らない。その得体の知れなさを考える上で重要人物となるのがゲッターキリクのパイロット、カムイ・ショウである。
 
 

2.得体知れなきカムイ・ショウ

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
ゴール三世「お前は我々にとってあらゆる意味で希望になったのだ」
 
カムイ・ショウは特別な立場にいる存在だ。人間とハチュウ人類の混血であり、恐竜帝国によって生み出されながら早乙女研究所に所属し、ハチュウ人類にとって災いの象徴たるゲッターロボにすら乗っている。彼という人間はその生い立ちも所属も全ては繋がりの上にあり、すなわち得体が知れない。
 

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
カムイ「俺が甘いとでも?」
拓馬「そんなこた言ってねえ、てめえのことは認めている。背負っているものも想像はつく。だからよ……少し気になっただけさ」

 

この得体の知れなさは今回ハチュウ人類が種族でなく恐竜帝国という勢力になったことで、一層不透明さを増している。拓馬がカムイのゴール三世への態度に不満なのは自分達の仲間と認めたカムイがそれに応えてくれないかのようだからだし、ゴール三世は地上に興味など無いとは言うが明らかにカムイを自分の側へ引き寄せようと厚遇している。
半分人間であり半分ハチュウ人類であるカムイの動向はどちらからも得体が知れず、故に多くの相手から不安がられている。それは黒い真ゲッターで味方してくれてはいるが目的や経緯の不明な一文字號や、ラストでカムイに近づく謎のハチュウ人類三人組についても同様であろう。
 

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
繋がりは確かに新しいものを生む。それは旧きものだけでは生まれない可能性を孕んでいるからだ。しかし同時に、可能性が招くのは良き未来だけとは限らない。可能性であるが故の不確かさは、それだけで不穏を感じさせもする。
繋がりとはつまり、得体の知れない何かを秘めたパンドラの箱なのである。
 
 

感想

というわけでゲッターロボアークの7話レビューでした。1日遅れですみません。「繋がり」という共通点の後「パンドラの箱」という形容にたどり着くまでが大変でした。ろくでもないことの方に寄った表現ですが、まあなにせゲッター線だし。
 

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(c)2000永井豪石川賢/ダイナミック企画・早乙女研究所
ところで前回のブラック真ゲッターの登場があんまり格好良かったので「真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ」も見たんですが、これもメチャクチャ面白いですね! ちょっと時間がかかりますが、これについてもいずれ書いてみたいなー。
 

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©永井豪石川賢/ダイナミック企画・真早乙女研究所
4話で見た時は遠近法の関係かと思ってたのですが、対面させるとデカイなハン博士。なのに拓馬達と話す分には優しく気のいいじいちゃんなの、すごくキュートだ。カムイの今後の行動は、ラストで彼に近づいてきた三人の目的は。次回も楽しみです。
 
 

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*1:翔「バカな、あいつに核を使えばどうなるか!」……ヤバいのは伝わるがどうなるんだろう?

*2:もちろん、シュワルツと翔の恋愛関係のように肯定的な「繋がり」もあるにはある