不可視のペア――「BIRDIE WING -Golf Girls' Story-」12話レビュー&感想

©BNP/BIRDIE WING Golf Club
比翼を求める「バーディーウィング」。12話ではダブルス選手権が幕を開ける。だが、目に見える2人組だけがペアとは限らない。
 
 

BIRDIE WING -Golf Girls' Story- 第12話「葵とイヴで大丈夫? 開催、ダブルス選手権」

いよいよ「全日本高校女子ゴルフダブルス選手権」山梨県予選が始まる。通過できるのは1校のみ。雷凰女学園の代表になったイヴと葵のペアは、選手権に同行するイチナ、雨音と共にチーム一丸となって勝利を目指す。だが、イヴと葵は予選が始まっても互いのスコアを競い合い、チームワークとは程遠い。そんな2人の目標は、全国ナンバーワンの実力を持つ、高知・灘南体育女子学園の姫川&及川ペアのスコアを上回ること。予選突破のハードルを上げ、燃える2人!
 

1.最悪のペア、最凶の弾丸

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イヴ「バーディパット3回も外したくせに」
葵「パーパットを決められない人に言われたくありませーん」

 

ペアを組んで選手権に臨むこととなったイヴと葵だが、周囲が懸念するように二人はけして一糸乱れぬといった様子ではない。ニアピン具合やボギーの回数などちょっとしたことで彼女達は張り合い、表彰式でも言い争う*1始末。ただ、ならば彼女達がダブルスとして機能していないかと言えばそれも違う。
 

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選手たち(って、ペアかい!?)
 
葵とイヴは容姿も性格もまるで違うが、常に周囲を驚かせる点で二人は極めてよく似ている。参加した山梨県予選でも他校の選手は葵の無邪気さに呆気にとられた次の瞬間にはイヴのパワープレイに度肝を抜かれる繰り返しで、彼女達の組には昨年県大会4位の実力者もいたが一打目で早々に心を折られてしまった。……いや、撃ち抜かれてしまったのだ。イヴではなく、イヴと葵のペアによって。傍目には喧嘩ばかりの彼女達はその実、まるで二人で一発の弾丸・・・・・・・・のように機能しているのである。
 
 

2.不可視のペア

まるで息の合っていないはずのイヴと葵が、しかしダブルスでは強力無比なペアとして機能する。なぜか? 彼女達の所属する雷凰女子学園の監督である亜室はその理由を最初から見抜いていた。
 

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亜室「チームワーク? そんなものは要らない、競い合うんだ。競い合って強くなるのさ」
 
和を重んじるのではなく、競い合って互いを強くする。亜室が考える理想のペア像はそういうものだ。そして、実はこれはイヴと葵に留まる話ではない。
 

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雨音「1個半とデータが証明しているわ」
イチナ「そのデータ古いんスよ!」

 

例えばイヴと葵には専属キャディーとしてイチナと雨音がそれぞれ付いているが、彼女達のやり方もイヴと葵に劣らず対照的だ。イチナがコースでの生の情報を重視するのに対し雨音はドローン等も活用し大量のデータから最適解を導き出すのだから意見が食い違うのは当然で、練習中はイヴと葵の争いの横で彼女達も言い争っている。そして言い争っているのなら、二人のやり方もまた競い合いの最中にある。つまり亜室が言うように、競い合って強くなる真っ只中にあるということだ。
 

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亜室「一昨日に行われた高知県予選会の結果だが、灘南女子の姫川みずほは1ラウンドを10アンダーで回ったそうだ。君達は勝てるかな? 不動の高校No.1に」
 
また亜室は県予選に挑ませるにあたって、高知・灘南体育女子の姫川みずほの予選スコアをイヴと葵に伝え発奮材料とした。終わってみれば二人は共に11アンダーという驚異的なスコアを叩き出したが、これは不動の高校No.1であるみずほが10アンダーだと知らされていたからこそ出たものだろう。山梨と高知で遠く離れていながら、イヴと葵は既にみずほと競っていた。競う中で、自らをいっそう強くしていたのである。
 

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みずほ(強者は好敵手と戦うことでより強くなる。天鷲さん、あなたに私を磨いてほしいの……期待しているわ)
 
強者と強者がぶつかればそこには競い合いが生まれ、敵同士でありながら互いを強くしていく。亜室が言う理想のペア像は、この12話冒頭でみずほが葵に期待した役割(自らを磨いてくれる好敵手)と極めて近しいものだ。いや、振り返ってみればイヴにしても葵にしても、好敵手を求めてやまないスタンスは当初から一貫している。強者にとって、最強の好敵手と最良のペア・パートナーはイコールで結べるものなのだろう。
 

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イヴ「撃ち抜いてやる、この私の虹色の弾丸で!」
 
舞台である全日本女子ゴルフダブルス選手権は、各校から二人ずつ選ばれたペアがスコアを競うものだ。けれどこの大会は登録された選手だけでなく、もっともっと多くのペアを生み出している。この大会がダブルスであることは、物語の都合ではなくイヴ達に必要なことなのだ。
不可視のペアが見出される度、本作のゴルフは更なる高みへ昇っていくのである。
 
 

感想

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というわけでバディゴルの12話レビューでした。シャ、シャイターン! 店員は何を考えてこのガンプラを勧めたのか。ボンボン連載の漫画版Vガンダムに出てきたギギムを思い出さずにいられませんが、改めてハチャメチャだったなああの漫画……本編はイヴと葵に対する周囲の反応が良い具合に脱力もので楽しかったです。
 
さて、現在放送されているのがシーズン1であることが正式に発表されましたが、次回でどんな締めをすることになるのか。楽しく待てることを期待してます。
 
 

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*1:イチャついているとも言う