2020-01-01から1年間の記事一覧

他者というフロンティア――「天晴爛漫!」13話レビュー&感想

レースの外でも常に荒野を走り続けた天晴がついにゴールへたどりつく「天晴爛漫!」最終13話、天晴達は工夫を凝らすもギルを倒すことができない。それは彼が本当に倒すべきは、止めるべきはギル個人ではないからだ。

暴走する「力こそ全て」――「魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸」5話レビュー&感想

画面の外で第3・第4の世界を突破し、西洋風の世界でバトル大会が繰り広げられる「魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸」5話。バトル大会では強さが物を言うが、この5話ではその行き着く先が描かれる。

独占への反逆――「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」11話レビュー&感想

無尽蔵のエネルギーにも世界を滅ぼす兵器にもなりうる物質、アドリウムの取り扱いが鍵となる「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」11話。最初に述べた危険性ゆえにアドリウムの存在はこれまで秘密に――わずかな人間に「独占」されてきたわけだが、独占されてきたの…

真実は身勝手なもの――「デカダンス」12話レビュー&感想

戦いとその先の未来が描かれる「デカダンス」最終12話、決戦は皆が心を一つに……といった形にはならない。事情を知る者からは無意味だったり、身勝手ですらあったりする。しかし虚構と事実とは別に人が見る「真実」なんて、元々そういうものではないか?

乱理もまた理――「ゴッド・オブ・ハイスクール」12話レビュー&感想

大会の終了が告げられ、試合の枠を超えた戦いが繰り広げられる「ゴッド・オブ・ハイスクール」12話。孫を殺されたジョン・ジェサンはその無念を生命に代えても晴らすと誓う。父祖の無念を子孫が晴らすのとは逆であるように、ノックスの首魁サン・マンダクの…

無とは広がりなり――「ラブライブ!サンシャイン!!」2期2話レビュー&感想

統廃合の決定を覆したい千歌達に、入学希望者100人のハードルが課せられる「ラブライブ!サンシャイン!!」2期2話。数字が立ちふさがるのは1期同様だが、0からの脱出と100への到達はもちろん別物。この2話で描かれるのは、新たな目的地へ向かうための試みだ。

2つのレース――「天晴爛漫!」12話レビュー

ソフィア救出とギル打倒のため天晴達がゴーストタウンに乗り込む「天晴爛漫!」12話。車は今回移動手段でしかなく、一見するとレース要素は全くないように見える。だが心の荒野を走ってきた本作は、今回も確かにレースを続けている。

あいしてるは蘇る――「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」レビュー

TVシリーズから2年、外伝から1年を経て公開された「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。TVシリーズでは回想でしか登場しなかったギルベルト少佐の生存とヴァイオレットの再会が本作の柱となるわけだが――果たして本当に「ギルベルト少佐」は生きてい…

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」10話レビュー~帰り道は別の道~

近未来的なガジェットを多数配し、原作とは大きく異る物語を描いてきた「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」。11話ではコンテナ船での戦いを終え"ラスボス"との決戦に赴く春を星野は「ヒーローが戻ってきた」と喜ぶ。しかし「戻ってきた」とはもちろん例えであり…

「デカダンス」11話レビュー~真実を共有できたなら~

「デカダンス」11話では、デカダンスおよびソリッド・クエイク社と管理チップを持たぬバグ・ガドルであるオメガの激闘が描かれる。機械の体で生きるサイボーグとシステムから外れて生まれたバグ・ガドルは対照的なようでいて、どちらもが虚実を抱えている点…

「ゴッド・オブ・ハイスクール」11話レビュー~消える聖域~

パク・イルピョが鍵として目覚め、「ゴッド・オブ・ハイスクール」11話は彼の借力である九尾の狐の昔話から始まる。天帝を守護するもあまりの力にその天帝からすら恐れられ粛清されそうになり、天界の半分を壊滅させた九尾の狐の絶大な力。それはイルピョの…

「ラブライブ!サンシャイン!!」2期1話レビュー〜時間差にあがいて〜

2学期の始まりと共に幕を開ける「ラブライブ!サンシャイン!!」2期1話、千歌は盛大に寝坊し遅刻してしまうが、最後には皆で「LoveLive」の陣を組む。時計の進み方は一様ではなく、しかしそれは時計の針が合わないことを意味しない。

「天晴爛漫!」11話レビュー~替えられないものを取り戻せ~

天晴を庇い小雨が瀕死に陥った「天晴爛漫!」。11話では小雨は病院に運ばれるも助かるかどうか定かでなく、天晴はいつになくうろたえる。修理が必要なのはギルに破壊された車だけではない、車に込められていた天晴の、天晴達の心もだ。

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」9話レビュー〜刑事とヒーロー〜

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」10話冒頭、長介と武井を殺された春は現対本部へ戻ろうとするが、大助は拒絶しこの件に警察ではなく私人としてのみ関わると言う。違わず正義を執行できる私人とは、すなわちヒーローである。春は4話で刑事(公務員)とヒーロー…

「デカダンス」10話レビュー〜虚実より真実〜

デカダンス #10「brake system」 ©DECA-DENCE PROJECT ガドル工場の破壊とナツメが世界の実相を知ることで虚構と現実の境が破壊された「デカダンス」。結果として10話冒頭、ナツメはショックのあまり気を失う。それは虚構と現実の区別をつけられなくなった彼…

「ゴッド・オブ・ハイスクール」10話レビュー~見えない借力~

「ゴッド・オブ・ハイスクール」10話アバンでは、パク・イルピョの従姉妹のスンヨンが4年前戦えなくなった経緯と、それに怒りまた彼女の治療のために個人的感情を置き去りにしようとするイルピョが描かれる。アバンからラストに至るまで、この10話は彼がとも…

「ラブライブ!サンシャイン!!」13話レビュー〜小数点を動かせ〜

地区予選のステージが描かれる「ラブライブ!サンシャイン!!」13話冒頭、千歌は皆に伝えたいことがあると告げる。「伝える」とはそもそも、どういうことだろうか。

2020秋アニメ レビュー予定作品

© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会 10月からまた新作アニメが始まりますね。秋は以下の作品についてレビューを書いていく予定です。 <9/16追記> もう放送予定の追加は無いだろうと思っていたら、虹ヶ咲が10月から放送開始だそうで。聞い…

「天晴爛漫!」10話レビュー~技術の新旧から理念の新旧へ~

レース再開となる「天晴爛漫!」10話では、列車とレースの自動車が同時出発する新旧対決の様相を呈する。しかし本当に競っているのは――いや、対立しているのは、技術の新旧ではなく理念の新旧だ。

「デカダンス」9話レビュー~変わらぬ内外~

「デカダンス」9話で破壊作戦の決行されるガドル工場周辺にはチップに反応する不可視のシールドが張られている。内外を分けるその境界線にナツメは気付かず、カブラギはおっかなびっくり越えるが、チップの無い彼らの体には内外の違いは意味がない。内と外は…

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」8話レビュー~危機と好機の交わり~

長介と協力して19年前の事件の捜査が行われる「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」8話では、大助は敵の関係者である武井の尋問を神戸邸で行おうとする。警察での取り調べは危険があるから都合のいい機能だけをピックアップしようというわけだが、危険とはそう簡単…

辛い

どんどん分断される世の中で嘲笑と冷笑が増えていくのも。 優しさや気高さや聡明さが、あまりに簡単におぞましい別物に変わってしまうのも。 そんな世界で自分が承認欲求を肥大化させているのも。 自分の言葉に、多くの人に聞いてもらう力が全然足りないのも…

「ゴッド・オブ・ハイスクール」9話レビュー〜無双にして相似〜

©2020 Crunchy Onigiri, LLC ジン・モリが祖父を人質に取られ、3人がそれぞれ別の場所で戦う「ゴッド・オブ・ハイスクール」9話では、ユ・ミラが借力として英傑・呂布奉先を呼び出す。なぜこの突飛にも思える組み合わせなのかを考えると、今回は唯一性と相似…

「ラブライブ!サンシャイン!!」12話レビュー~普遍のオンリーワン~

©プロジェクトラブライブ!サンシャイン!! 予備予選の結果が発表される「ラブライブ!サンシャイン!!」12話では、エントリー番号順の合格発表を名前順と思い込み当落を勘違いする場面が描かれる。基準が1つとは限らないのは、この12話全体における発見だ。

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」7話レビュー~衝突するから信用できる~

「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」7話では19年前の神戸小百合殺人事件の捜査が描かれる。視聴者の視点はかつて長介の部下だった武井に重ねられ、しかしそれは視聴者と武井の同一化(交わり)を意味しない。(以下続く)©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥#…

「天晴爛漫!」9話レビュー~荒野で行き交う~

ギルの部下の襲撃を受け、レース小休止となる「天晴爛漫!」9話。そこでの天晴達の様子は微笑ましいが、しかしそれはレース中とどれほど違うものだろうか?(以下続く)©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会#天晴爛漫#appare pic.twitter.com/NMsJmiBN9q…

「デカダンス」8話レビュー~逆転の壁~

ガドル工場の破壊準備が始まる「デカダンス」8話では、ゲームに過ぎない筈のデカダンス用の素体が現実を打破する重要なアイテムとされる。ここで起きる虚実の逆転は、8話全体からも言えるものだ。(以下続く)©DECA-DENCE PROJECT#DECA_DENCE#デカダンス pic…

「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」26話レビュー~繋がり、別れ、広がり~

最終回となる「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」26話では、合体までした前回と打って変わってヒロト達4人の掛け合いはほとんど見られない。しかしもちろんそれは、彼らが繋がっていないことを意味しない。(以下続く)©創通・サンライズ#g_bd#リライズ感想…

「ゴッド・オブ・ハイスクール」8話レビュー〜支えは1つでなく〜

「ゴッド・オブ・ハイスクール」8話では、ジェガル・テクが失格にならないのは彼が「鍵」かもしれないからだけではないと示唆される。借拳や剣以外に借力という強さも現れたように、拠って立つものが1つとは限らない。(以下続く)©2020 Crunchy Onigiri, LL…

「ラブライブ!サンシャイン!!」11話レビュー~それぞれのベストポジション~

「ラブライブ!サンシャイン!!」11話でAqoursが挑むラブライブ予備予選では、ピアノコンクールに送り出した梨子の穴をどう埋めるかが重要になる。しかし、穴を埋めるとは代わりになることだろうか。(以下続く)©プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!#lov…